研究課題/領域番号 |
17H01993
|
研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
池田 満 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (80212786)
|
研究分担者 |
仲林 清 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (20462765)
松田 憲幸 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (40294128)
瀬田 和久 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (50304051)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 批判的思考 / 論理的思考 / 育成手法 |
研究実績の概要 |
論理的思考力を基礎にした批判的思考力育成モデルを構築するという本研究の目的を達成するために、論理的思考と批判的思考の学習ギャップを乗り越える足場かけ方法、批判的思考の特性の認識を促す方法を構成する必要がある。このために、以下の3つの副目標を設定した。 副目標A:自然演繹法を基礎にして論理学の観点から、主張と根拠、意見と事実、仮説と前提の意義を理解させ、論理的思考スキルを定着させる教育方法を構成する。(ⅱ、ⅳ:論理的思考の学習環境)、副目標B:論理的思考スキルを基礎に自分の経験について論理的に分析し、偏りがない思考、省察的で熟慮的な思考、より良い思考のための目標指向性とはどのようなものか?について考え、批判的思考の特性の探求学習の方法を構成する、副目標C:論理的分析を基礎にした批判的思考力形成の足場かけ方法を構成し、それが有効に働く条件を、実践データから分析する手法を明らかにする、副目標D:副目標A~Cを踏まえて批判的思考力育成手法をモデル化したうえで、複数の条件下(学習者特性・対象課題を変える)で実践し、モデルを精緻化する。 本年度は、前年度までの研究を踏まえて、副目標A及びBの研究を完了し、副目標Cに取り組んだ。副目標A、Bの成果として、論理的思考スキル・批判的思考スキルを育成するための講義教材・演習教材が得られた。副目標Cについては、理解状態に変化が得られなかった学習者の学習特性を分析するうえで十分なデータが得られなかったため、調査方法を改善し次年度に継続して取り組むこととした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、副目標A(論理的思考スキルを定着させる教育方法の構成)副目標B(批判的思考の特性の探求学習の方法の構成)について、学習環境を用いた対面での教育を実施し、データ収集を行うことを想定していたが、コロナ禍のため対面での教育活動が行えなかったため、オンラインによる講義と演習での実施に切り替えた。このため、教材の改訂に時間を要し、質的に深いデータの収集が難しいという影響があったが、講義・演習での学習者とのオンラインでのインタラクションを多くするなどの工夫で学習データを確保することができた。副目標C(教育方法が有効に働く条件を実践データから分析する手法の構成)については、学習効果があった学習者の理解状態の変化を定性的に評価することは可能であったが、学習効果がない条件を明確に分析で導くことはできなかった。副目標Cが十分に達成されていないことを考慮して、自己点検評価の区分をおおむね順調に進展しているとした。
|
今後の研究の推進方策 |
副目標Cについて、学習効果が得られない条件の分析が難しいことの原因は、学習データには、学んだこと、気づいたことなどの、学習による変化が記録されているが、理解状態に変化がない場合に、どのような原因が関与しているかを示すデータが含まれていない点にある。この点を改善するために、学習者のプロフィール情報の調査手法を再検討し、理解状態に変化がない学習者に対して、学習の振り返りをより精密に記述することを支援する手法を検討する。それを次年度の講義で実施しデータを収集・分析し、副目標D(批判的思考力育成手法のモデル化)の達成を目指す。
|