研究課題/領域番号 |
17H01996
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
曽我 真人 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (60252839)
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研究分担者 |
松田 憲幸 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (40294128)
三浦 浩一 和歌山大学, システム工学部, 助教 (70362861)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スキル学習 / 拡張現実感 / シミュレーション / 学習支援システム |
研究実績の概要 |
平成29年度は,以下の3つの研究を中心に推進した。 (1)習慣逆転法を用いた癖の改善支援システムの構築: 現在、多くの人が無意識に行ってしまう癖に苦しんでいる。癖の治療方法の1つとして、習慣逆転法というものが存在する。これは行動療法である。具体的な行動目標を繰り返し実行することで自分をコントロールする力を身に着けていくものであるが,癖を無意識に行ってしまうため,自身では習慣逆転法を実践するのが難しい。そこで,本研究では、習慣逆転法を、Kinectを用いてより効率的に治療を進めるために、学習者が癖を行った時に,音声による通知を行うシステムを構築した。また、システムの有用性について検証した。 (2)競技かるたの決まり字変化シミュレーションシステムの構築: 競技かるたにおいて,上の句の何文字目が読まれたときに,下の句の取り札が唯一に決定できるかについて,その文字を決まり字と呼ぶ。かるたゲームが進行するにつれて,取り札の数が減ってゆくので,決まり字も変化してゆく。かるた競技者にとって,盤面に並んでいる下の句の取り札の決まり字を把握しておくことは,ゲームに勝つために重要であるが,これを頭の中でシミュレーションすることは初心者にとっては難しい。それを可視化するシステムを構築した。 (3)AR表示ヒューマンモデルのデッサン人形によるタンジブルインタフェース: デッサン人形の上にARによる人体モデルを重ね表示し,デッサン人形を手でつかんで動かさすと,AR人体モデルも追従して動くシステムを構築した。さらに,デッサン人形の手足の関節を動かしてポーズを替えると,AR人体モデルもそれに追従する。すななわち,デッサン人形をタンジブルインタフェースとしてAR人体モデルを操作できる。このシステムは,人物画スケッチ学習支援システムに応用することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の3つの研究を推進し,いずれも順調に進展しているのが理由である。 (1)習慣逆転法を用いた癖の改善支援システムの構築: システムの構築だけでなく,第一段階のシステムについて評価実験まで行っているので順調に進展していると言える。 (2)競技かるたの決まり字変化シミュレーションシステムの構築: H29年度からスタートした研究であり,きまり字変化のシミュレーションを一通り可能にしたので,順調に進展していると言える。 (3)AR表示ヒューマンモデルのデッサン人形によるタンジブルインタフェース: H29 年度からスタートした研究であり,デッサン人形をタンジブルインタフェースとしてAR人体モデルを操作できるところまで完成したので,順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
(1)習慣逆転法を用いた癖の改善支援システムの構築については,学習者が継続的に本システムを使って習慣逆転法を行う意欲を持続できる機能を組み込む。 (2)競技かるたの決まり字変化シミュレーションシステムについては,現時点ではシミュレータとしての役割は果たしているが,学習支援としての機能に乏しい。そこで,学習支援機能を追加する。 (3)AR表示ヒューマンモデルのデッサン人形によるタンジブルインタフェースについては,絵画学習支援システムへの応用を検討する。当研究室では,過去に,CGで作成された人物モデルをモチーフとして,人物画スケッチ学習を支援するシステムを構築してきたが,そのCG人物モデルは複数のモデルの中から好みのポーズのものを選ぶことはできても,その手や足の姿勢を学習者が変更することはできなかった。しかし,このタンジブルインタフェースの手法を使えば,AR表示ヒューマンモデルの姿勢をリアルタイムに変えることが可能になる。今後はタンジブルインタフェースとして洗練してゆく。
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