研究課題/領域番号 |
17H01997
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤木 卓 長崎大学, 教育学部, 教授 (00218992)
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研究分担者 |
小清水 貴子 静岡大学, 教育学部, 准教授 (70452852)
瀬戸崎 典夫 長崎大学, 教育学部, 准教授 (70586635)
倉田 伸 長崎大学, 教育学部, 准教授 (80713205)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | メディアの活用 / VRの共感性 |
研究実績の概要 |
(1)VR環境の共感性検討:文献や視察等をもとに,VR環境の共感性について調査・検討を行った。日本語音声による基本形コンテンツが提供する共感性について,追悼記念館での視聴と研究討論を通じて,要素を大まかに抉り出すことができた。共感性は,言語文化が異なる民族であっても,共通に持つ感覚であるが,平和学習に関する共感性については,その情報の種類と共感の程度は,異なる可能性が否定できない。そのため,コンテンツのデザインと開発に際しては,言語文化の違いを超えて人類に共通すると考えられる,母が子を想う心情への共感に着目した。すなわち,我が娘を探して原子野を彷徨う母親の心情への共感を対象とすることとした。 (2)共感性を高める多言語VRコンテンツの開発と組込み:基本形コンテンツについて,日本語音声を日本語テロップにしてVR視聴時に字幕表示を行う日本語版と,音声は日本語のままだがテロップを英語で字幕表示する英語版,音声は日本語のままだがテロップを中国語で字幕表示する中国語版,そして,音声は日本語のままだがテロップを韓国語で字幕表示する韓国語版のコンテンツを開発した。コンテンツの開発は,既存のVR環境開発と同様に,専門業者へ委託した。これは,開発のクオリティが極めて高いため,品質維持のための措置である。そして,開発したコンテンツを,既存システムへ組み込んだ。 (3)没入型平和学習のデザインと共感性評価:開発コンテンツを用いて,没入型平和学習と共感性の評価を行うための学習のデザインを行った。VR酔いの観点から,学習時間は30分以内とした。学習そのものは,追悼記念館(既に,連携体制は整っている)で実践することとし,実践に向けた準備体制の検討を行った。なお,共感性を評価する質問紙調査の項目について,文献等をもとに準備を進め,大枠は目途がたったが,細部の検討と全体のブラッシュアップが必要となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)VR環境の共感性検討は,概ね目途がたった。(2)共感性を高める多言語VRコンテンツの開発と組込みは,終了した。(3)没入型平和学習のデザインと共感性評価は,概ね目途がたったが,共感性調査項目の精度を上げるのに時間を要している。以上の状況から,研究全体の進捗状況としては,概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に沿って,次のように進める予定である。 (1)VR環境の共感性検討:文献や視察等をもとに,VR環境の共感性について引き続き調査・検討を行う。日本語音声の基本形コンテンツが提供する共感性について,要素を抉り出すとともに,文献や視察等を通じて,共感性の国際比較を行う。 (2)共感性を高める多言語VRコンテンツの開発と組込み:基本形コンテンツについて,日本語音声を日本語テロップにしてVR視聴時に字幕表示を行う日本語版と,音声は日本語のままだがテロップを英語で字幕表示する英語版,音声は日本語のままだがテロップを中国語で字幕表示する中国語版,そして,音声は日本語のままだがテロップを韓国語で字幕表示する韓国語版のコンテンツが,共感性評価のために安定的に動作するよう,VRマシンの整備を行う。 (3)没入型平和学習のデザインと共感性評価:開発コンテンツを用いた没入型平和学習と共感性の評価を行うために,学習のデザインを引き続き行う。VR酔いの観点から,適切な学習時間に整える必要がある。また,VR環境の共感性検討の成果をもとに,共感性評価のための質問紙を作成する。学習そのものは,追悼記念館(既に,連携体制は整っている)で実践することとし,実践に向けた日程等の調整などが必要となる。学習が終了すると,質問紙調査等の結果をもとに,効果の検証を行う。
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