研究課題/領域番号 |
17H02004
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
稲葉 竹俊 東京工科大学, 教養学環, 教授 (10386766)
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研究分担者 |
安藤 公彦 東京工科大学, 片柳研究所, 講師 (00551863)
柴田 千尋 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 講師 (00633299)
田胡 和哉 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (10188229)
松永 信介 東京工科大学, メディア学部, 教授 (60318871)
吉仲 亮 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (80466424)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | CSCL / PBL / コーディング / ディープラーニング / ラーニング・アナリティクス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アクティブラーニングの一環として、高等教育への導入が拡大しているプロジェクト学習(PBL)での学内外の協調学習状況をリアルタイムで 分析・可視化し、学生のリフレクションや教員の早期の教育的介入の支援を可能とする知的学習環境を構築することで学習・教育の質を高めることである。具体 的には、以下のような取り組み課題のもとで研究を行う。 1.学習データのコーディングの自動化:CSCLシステムから取得されるデータや対面環境での会話データ 等へのディープラーニング技術を活用した学習データの自動コーディングの精度向上 2.学習プロセスの予測:ある時点のグループの学習状況の分析からその後の 学習プロセスの進展を予想する技法の開発 3.情報の可視化と効果検証:データ分析結果の視覚的提示方法の考案 平成30年度は特に上の1については、平成29年度に開発した自動コーディングモデルを新たな協調学習データセットを対象に適用し、実運用におけるモデルの有効性を検証した。各ラベルの分布や頻度と協調活動を検討することで、学習の分析が実際に可能であるかを検証した。また、PBLの学習過程で学習者間で交わされるチャット上の会話データに対して、「Participation」、「Epistemic」、「Coordination」、「Argumentative」,「Social」の5つの次元を設定していたが、昨年度の機械学習の精度検証の結果に基づいて、各次元での個別のコードを部分的に再設計し、より機械学習による分類精度のさらなる改善を目指した。3については、平成30年度に発表した論文の中で学習状況をコーディング結果から評価するレーティングスキームおよびその可視的表示方法についても提案を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は取り組み課題として、1.PBL 学習環境の基盤の運用とデータの集積、2.協調学習状況の可視化の設計。 3.深層学習によるモデルの改良の3点を設定していた。 まず1.については、年度を通して学内の複数の授業のPBL活動のなかで、このシステムを運用してさらなるデータの集積を行った。また、自動コーディングの精度をさらに向上させるため、あらたに人力で相当規模の新しいデータにコーディングを行い、教師付きデータを新たに構築した。また、29年度の研究成果を踏まえて、コーディングスキームを一部改良した。 2.については、学習状況を評価するレーティングスキームを設計し、またそのスキームの可視化の提案を行った。 3.については各次元間の相関性を何らかの形で分類モデルに反映させることでモデルの改良が可能であるという知見を得たので、今後はそれを実装することが課題となる。 1.と2.については、当初の計画通りに研究は進行したといえる。3.については、改良の方向性は明らかになったものの、その具現化には至らなかったので、来年度課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年は以下の4点を取り組み課題として研究を進めていくこととする。 1.今年度に引き続き、PBL 学習環境の基盤の運用とデータの集積を継続:①稲葉、安藤、柴田、田胡で、PBL環境を学内の複数の授業で実運用し、データの集積 を可能な限り続行する。また、そのデータへのディープラーニング技術を活用した自動コーディングの精度の検証と改良を行う。②稲葉、安藤、松永で自動コー ディングの施された大規模データを解析し、協調学習進行中のグループ内での相互作用の変化や活性度を評価する指標を抽出し、実際の教育現場での活用の可能性を検討する。 2.協調学習状況の可視化の実装:①稲葉、安藤で、今年度の可視化の提案を踏まえて、各グループや各個人の学習状況をリアルタイムで評価するレーティングスキームの実装とその提示方法をシステム内に実装する。 3.深層学習によるモデルの改良:柴田と吉仲で、今年度の知見に基づき、コーディングスキームの各次元の相関性を数値化し、分類モデルに何らかの形で反映させるように、モデルを改良する。4.時系列を考慮した分析技法の検討:既存のコーディングによる定量的研究では分類ラベルの集積数や頻度によって学習過程を分析する手法が支配的あるが、協調学習プロセスの中でのラベルの出現の時系列での変動や、時系列における複数ラベルの同時出現数の増減などの時間的な視点の導入が必要と思われる。すでにいくつかの注目すべき既存研究もあるので、これらも参照にしつつこの時系列での学習状態やその変化の自動検出の手法を稲葉と安藤で検討していく。
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