研究課題/領域番号 |
17H02009
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
兵藤 友博 立命館大学, 経営学部, 教授 (20278477)
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研究分担者 |
中村 真悟 立命館大学, 経営学部, 准教授 (10623358)
永島 昂 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (10733321)
杉本 通百則 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (40454508)
高橋 信一 岐阜経済大学, 経営学部, 教授 (60278182)
田口 直樹 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60303252)
山崎 文徳 立命館大学, 経営学部, 准教授 (70411204)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | インダストリー4.0 / 産業技術基盤 / モノづくりのIT化 |
研究実績の概要 |
29年度は、現地調査に先立ってIoTの企業の取組について現状のレビュー等をおこなう研究打ち合わせ、ならびに現地調査の準備打合せを数回行った。その上で、インダストリー4.0を掲げるドイツの企業、研究機関、行政関連省庁への訪問調査、また大学等に所属する研究者を対象に現地調査を行った。具体的には、DMG MORI CO.、フラウンホーファー研究所、it’s OWL、ギーセン大学、等々である。 なお、これらのドイツ調査に先立ってドイツ企業と経営連携を進めている日本の工作機械メーカー、またデジタル情報端末機器で知られる企業の関係者、加えてドイツ日本研究所の研究者のヒアリングを行った。当初想定していたように日本とは異なるドイツ固有の取り組みを見出すことができた。 加えて、研究者の自治や基礎研究による、標準化・可視化を前提とした有機的連携によるオープン・イノベーションを目指したフラウンホーファー・モデル、すなわち中小企業のオープン・イノベーションや産学公連携・人材養成、また生産やエネルギーのIoT化による全体最適化と省エネ化について資料収集・調査研究を行った。またit’s OWLの中心的な企業の戦略的製品として自動化に不可欠なPLC(Programmable Logic Controller)について調査した。 このドイツ調査の結果について総括的な研究打ち合わせを行い、年度末には関連学会分科会の研究会企画を実施し、技術史技術論関連の研究者との議論を行った。 他の調査として、米国の航空機産業のエンジン開発など、生産・分業構造に関する実態調査、ならびに欧州、インドにおける日系自動車産業の海外工場の実態調査を行ったが、労働コストの低廉さからIOT化が進展しにくいと想定される地域においても各国の法制度を含む社会的基盤を背景としてIOT化が取組まれつつある状況を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的に、IoT化の先行研究や取り組まれている現状についてのレビューを行い、計画していたドイツ調査を行い、成果を得た。ただしドイツの現地の生産現場についてIoT導入に関する生産システム等との変容についての探査については、なお探査する必要がある。 また、当初中国の現地企業の調査を計画していたが、諸般の事情から次年度に先送りせざるを得ず、それに代わる調査の取組として、個別的にヨーロッパとインドを対象に日系グローバル企業の「ものづくりのIT化」に関する実態調査を行うことで、IOT化の産業技術基盤形成には当該国の社会的基盤条件が大きく影響していることが明らかとなった。 次年度の調査では、ドイツ、中国のIOT化の実情に加えて、科学技術政策、中小企業政策、労働法制・労働慣行にも着目し、調査を行なっていくべく構想している。
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今後の研究の推進方策 |
米国ベンチャー企業による破壊的イノベーション,日本企業のプロセス・イノベーションに対して,ドイツはインダストリー4.0政策による産業技術基盤形成を進めており、この点の政策分析を含め現地産業・企業の実証的分析を進める。その上で、昨年度ならびに本年度の調査結果を研究発表すると共に、学内外の学術雑誌にそれらの研究成果を研究論文として投稿する。 1.海外調査 本年度の海外調査は、インダストリー4.0を掲げるドイツにおける現地企業、クラスターへの調査を継続し、加えてドイツ進出の日系企業からみる同国のインダストリー4. 0の動向を調査し、日独のIoTに代表される産業技術形成の比較分析を深める。また、中国製造業の高度化の動きについて、エレクトロニクス分野において急速に発展する深セン地域を対象にその実態調査を行う。 2.国内調査 ドイツならびに中国での実態調査との関係で、日本での関連分野の業界、企業の取り組みについて調査し、日独中におけるインダストリー4.0の受け止め、比較分析を行う。 3.個別的課題として留意すべき点を以下に掲げておく。 第一に、EUのCE(Circular Economy)政策とドイツのインダストリー4.0 政策の統合による産業技術基盤の発展に関する実証的研究を行う。第二に、20世紀以降の技術史・技術論にかかわり、航空宇宙産業の技術競争力に関する研究を進める。第三に、昨年度と同様に、1990年代以降の鋳物産業の情報化と産業構造の変化について、とりわけヨーロッパ市場への輸出を目指す鋳物メーカーのコンソーシアムTHE LEADING JAPAN FOUNDRIESとその参加企業の調査研究を進める。
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