研究課題/領域番号 |
17H02019
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
澤田 純明 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (10374943)
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研究分担者 |
安達 登 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60282125)
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 講師 (60452546)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 土器出現期 / 縄文時代草創期 / 人骨 / 日向洞窟 / 年代測定 / 古DNA / 形態人類学 |
研究実績の概要 |
山形県高畠町に所在する日向洞窟は、隆起線文土器や爪形文土器など縄文時代草創期の土器が出土したことで著名であり、同町内の複数の草創期洞窟遺跡とともに国史跡に指定されている。日向洞窟では、1955年以降数次にわたり発掘調査が実施され、草創期の土器のほか、縄文時代早期から弥生時代にかけての土器や石器、多量の動物骨、そして複数個体分の散乱人骨が得られている。人骨については、出土層位の情報が曖昧なこともあって長らく確定的な年代評価が与えられていなかったが、研究代表者らは本研究計画の開始に先立ち予備的調査を実施し、3個体の人骨標本から、縄文時代草創期に相当する放射性炭素年代測定値と、ハプロタイプを識別できる良好なDNA情報を確認した。2017年度に本科研費が採択されたことで分析費用を確保し、人骨資料と動物骨資料から測定試料を追加して放射性炭素年代測定および古DNA人類学的データの蓄積に努めた結果、新たな人骨2点について、更新世に遡る縄文時代草創期前半の年代測定値を得ることに成功した。また、縄文時代早期の前半期に相当する人骨の年代測定値が複数得られ、日向洞窟の人骨群が縄文時代草創期から縄文時代早期にわたる年代の資料から構成されていることの見通しを得た。さらに、形態人類学的分析を実施した結果、断片資料であるがゆえに限局的な解明に留まるものの、草創期の年代値が得られた人骨の形態特徴が、これまで知られていた縄文時代人の特徴と共通することを見出した。その他、調査の過程において、未同定の人骨・動物骨資料が存在することを新たに確認した。新たに確認された資料については、2018年度に基礎整理を実施したうえで、年代測定およびDNA分析を追加していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料の分析は予定通りに進んでおり、放射性炭素年代測定・DNA分析・形態学的分析の結果も得られている。現在、研究成果の最初の公表について協議する段階に達しており、進捗状況は順調であると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
1)これまでに得られた研究成果をもとに、国際学術雑誌への論文投稿の準備を進める。 2)日向洞窟人骨について、次世代シーケンサーによる核DNAの解析を実施する。 3)2017年度の調査において、未同定の日向洞窟資料の存在を確認したので、その基礎整理を実施し、年代測定およびDNA解析を実施する。
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