研究課題
昨年度に引き続き、樹木年輪セルロースの酸素同位体比による年代測定の地理的な適用範囲を大幅に拡大するため、日本、台湾、韓国の各地を産地とする様々な時代の木材サンプルを測定して、考古材や古建築材の年代測定の基準となる年輪酸素同位体比データベースの時空間分布の拡充に取り組んだ。まず、台湾では、ヒノキ老齢木から得た複数個体のコアサンプルの測定を継続することで、過去1000年に及ぶ連続した年輪酸素同位体比データを獲得するに至った。この台湾産の年輪データは、既に構築済みの屋久島産の年輪データとも共通する変動が確認されたほか、台湾と同じ緯度帯である中国本土産の現生木サンプルとも経年変動パターンが良く同調していた。このことから、緯度の制約は受けるものの、中国本土産の考古材の年代も精度良く決定できる可能性が示唆された。次いで日本においては、立山で取得したサンプルの個体数を増やし、信頼度の高い酸素同位体比時系列を過去500年にわたって構築することができた。また、日本各地の考古材サンプルを新たに分析することで、過去4000年間を超える年輪酸素同位体比のデータセットを構築することができた。そのほか、韓国では、中部のSongi山において、マツとナラからサンプルを取得して樹種別に年輪酸素同位体比時系列を作成した。これらの年輪データは、樹種間で変動パターンがよく同調していたほか、韓国南部のJiri山や日本の立山で取得した年輪データとも良く整合していた。以上の新規データを用いて、韓国ついては2報目の論文を既に投稿済みであり、台湾と立山のデータについても複数の学会での報告を経て論文を執筆中である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 6件、 査読あり 7件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Theoretical and Applied Climatology
巻: 139 ページ: 1401-1414
10.1007/s00704-019-03036-y
Scientific Reports
巻: 10 ページ: 8966
10.1038/s41598-020-66001-0
A.P. Dimri, B. Bookhagen, M. Stoffel and T. Yasunari (Eds.), Himalayan weather and climate and their impact on the environment. Springer International Publishing
巻: none ページ: 261-280
10.1007/978-3-030-29684-1_14
Geophysical Research Letters
巻: 46 ページ: 4863-4872
10.1029/2018GL081458
Science of The Total Environment
巻: 689 ページ: 99-108
10.1016/j.scitotenv.2019.06.268
Dendrochronologia
巻: 57 ページ: 125626
10.1016/j.dendro.2019.125626
Radiocarbon
巻: 61 ページ: 1749-1754
10.1017/RDC.2019.123