研究課題/領域番号 |
17H02025
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
内川 隆志 國學院大學, 研究開発推進機構, 教授 (80176677)
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研究分担者 |
三浦 泰之 北海道博物館, 研究部, 学芸員 (50300843)
長谷 洋一 関西大学, 文学部, 教授 (60388410)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 物産会 / 好古家ネットワーク / ヘンリー・フォン・シーボルト / 松浦武四郎生誕200年 / 武四郎研究の最前線 |
研究実績の概要 |
① 「物産会」研究プロジェクトでは、石水博物館所蔵資料(山本亡羊・榕室主催「読書室物産会」他)の調査、西尾市岩瀬文庫調査を実施し、事業計画に明記した関連文献の調査を実施した。 ② 1) 好古家蒐集古物資料の調査研究プロジェクトでは、静嘉堂文庫・松浦武四郎記念館その他における松浦武四郎関連古物の調査研究を実施した。武四郎が出版した調査日誌に挿まれた絵画や詩歌、武四郎が文人などの様々な人びとから揮毫してもらった渋団扇などを通じて、武四郎による好古家ネットワーク形成を探る調査を実施。合わせて函館市中央図書館所蔵資料の調査も実施した。静嘉堂では、特に連携研究者の川村佳男氏による静嘉堂所蔵中国古代青銅器の調査を実施した。 2) 好古家ネットワーク研究プロジェクトでは、近代初期の好古根岸武香関係資料調査のため熊谷市の根岸家と同市江南文化財センターにおいて関連資料調査を敢行した。 ③シーボルト父子蒐集古物調査研究プロジェクトでは、昨年度実施した大英博物館収蔵のH.v.シーボルト蒐集日本考古関連資料の整理と関連情報の収集を行った。 平成30年度は、好古家松浦武四郎生誕200年、北海道命名150年にあたり松浦武四郎ゆかりの北海道、生誕地の三重県で大きなイベント、展示会が開催され本科研メンバーも多くの講演会やシンポジウム、フォーラムに登壇した。特に分担研究者の三浦泰之は、北海道博物館・松浦武四郎記念館・帯広美術館において実施した連携展示「松浦武四郎 - 見る、集める、伝える」の企画を担当し、本科研の成果を発信した。平成30年9月29日には三重県生涯学習センターにおいて、本科研メンバーによる公開研究会「武四郎研究の最前線」実施し、その成果を『好古家ネットワークの形成と近代博物館創設に関する学祭的研究Ⅱ』(平成31年2月28日)として刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①②プロジェクトについては概ね予定通りに進捗しており、②の 1) 好古家蒐集古物資料の調査研究プロジェクトでは、実測、写真撮影等順調に資料化が進んでいる。特に松浦武四郎記念館所蔵の「古器縦覧」箱に収納されている古物についてはデジタルトレースまでほぼ完成している。静嘉堂所蔵の松浦武四郎蒐集古物資料に関しては、特に青銅器関係資料については、連携研究者の九州国立博物館川村佳男氏の調査研究によって集中的に整理を進め、今年度の『好古家ネットワークの形成と近代博物館創設に関する学際的研究』Ⅲに掲載できる方向で調査・研究を推進する予定である。また、2) 好古家ネットワーク研究プロジェクトでは、埼玉県熊谷市在住の根岸憲友氏のご理解ご協力の下、武蔵の好古家として名高い根岸武香蒐集資料調査を敢行し、熊谷市教育委員会の新井端氏の全面的な協力を得て新たな情報が蓄積されつつある。③シーボルト父子蒐集古物調査研究プロジェクトでは、当初計画で予定していたオーストリアをはじめとした欧州におけるH.V.シーボルト関連古物資料の調査研究について、国立歴史民俗博物館の大型研究プロジェクトが実施されているなど、本研究をはるかに凌駕する規模で展開しているため、同地域における具体的な調査については、予算的にも事業の縮小は避けられない状況となっている。本科研では、平成29年度に実施した大英博物館におけるH.V.シーボルト旧蔵日本考古資料の調査成果を本科研の主たる研究成果として公表する方針としたい。当該資料に関して、現状では、実測図のデジタルトレースと並行して付随する情報をもとに資料情報の整理を実施し、分析を行い、本年度の研究報告Ⅲに掲載の方向で調整している。現在、本科研の成果公開として令和元年1月に國學院大學博物館で開催予定の「Antiqurians 近代博物館を支えた好古家たち」の準備を研究と並行して実施している。
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今後の研究の推進方策 |
① 「物産会」研究プロジェクトでは、引き続き分担研究者の三浦泰之氏を中心に所蔵機関における調査・研究を推進し、② 1) 好古家蒐集古物資料の調査研究プロジェクトでは、引き続き静嘉堂文庫・松浦武四郎記念館その他における未整理資料の調査研究を実施する予定である。 2) 好古家ネットワーク研究プロジェクトでは、あらたな研究対象として近代初期の好古根岸武香関係資料の調査研究を加える。本資料に関しては、既に熊谷市教育委員会の新井端氏による基礎調査がほぼ終了した状況であり、新井氏を研究協力者として本科研メンバーとして参画頂くことで合意を得ていいる。③シーボルト父子蒐集古物調査研究プロジェクトでは、既に実施している大英博物館収蔵のH.v.シーボルト蒐集日本考古関連資料の整理を完結させ、報告を刊行する予定となっている。研究推進過程において資料の再検証が必要な場合においては、大英博物館の再訪も考慮したい。既に平成29年・30年の研究成果については『好古家ネットワークの形成と近代博物館創設に関する学際的研究』Ⅰ・Ⅱで公開しており、今年度は同研究報告の中で、分担・連携研究者の論文、未発表の関連資料報告等を内容とする予定である。加えて國學院大學博物館において本研究の社会還元と理解を目途とした特別展「Antiqurians 近代博物館を支えた好古家たち」を実施する予定である。この展示では、静嘉堂、関西大学との連携を図り、松浦武四郎、本山彦一蒐集の幕末維新期の好古資料を中心に会期中に本科研メンバーによるミュージアムトークを4回、年度末には、研究フォーラム「幕末維新期の好古家ネットワーク」(仮題)を開催する予定である。
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