研究課題/領域番号 |
17H02026
|
研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
瀧端 真理子 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (70330165)
|
研究分担者 |
大原 一興 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (10194268)
和田 岳 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 主任学芸員 (60270724)
佐藤 翔 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (90707168)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ミュージアム / 博物館 / 高齢者 / 博物館経営学 / 博物館教育学 |
研究実績の概要 |
1)米国のミュージアムにおける寄附金獲得戦略についてミルウォーキー所在6館園について網羅的な調査を行った結果、2017・18年度に調査したシカゴ所在館園と類似の傾向が確認でき、データとともに概要を紀要で公表した。学会発表ではMembershipを前提とする分野別「支援グループ」とプランド・ギビング、アクセス保障に特化した寄附募集、COVID-19に対応したオンライン資金調達イベント等を取り上げた。また、寄附という観点からの「博物館への市民参加」について考察した。 2)資料中心から利用者中心へと博物館活動がシフトする世界的な状況と軌を一にして、博物館スタッフに必要なスキル領域が拡大していることから、必要とされる専門職像を検討し、高齢者との互恵的関係の観点からはデジタルアーキビスト、ソーシャルワーカー、マネジメント人材等が必要であることを論じた。 3)図書館での調査では以下の点が確認された。(1)視線追尾装置を用いた図書館書架閲覧実験より、高齢者は若年者に比べて視野範囲内での視点分布が中央部に固まるなど、視界にあるものの中でも注目する場所が偏ることが確認された。(2)図書館貸出データの分析より、高齢者とそれ以外では曜日に伴う利用行動が異なり、一般の利用が集中する日曜日や祝日を比較的、避けようとする傾向が確認された。(3)VR上の図書館を用いた実験より、加齢に伴いVRへの慣れが遅くなり、実験タスクの達成が困難になることが確認された。 4)国内外の博物館において様々な高齢者配慮のための環境整備事例を収集し、休憩用に複数の椅子を配備している美術館において、来館者の椅子の使用実態と疲労状況などを調査した。 5)海外での現地調査が不可能になったため、国内における回想法の活動空間の実態を把握するために、横浜市内の学校博物館において回想法を試験的に実施して考察をした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究成果はICOM Kyoto 2019でNATHIST、ICTOP、ICAMT、CIDOCでの口頭発表計4本、CECAでのポスター発表1本の計5本で公表できたほか、国内外の学会等で順次口頭発表及び論文化を行っているため、成果の公表は順調に進んでいる。 一方、高齢者に配慮した施設の先進事例調査として2020年3月にスウェーデン、フィンランドで現地調査を行う予定であったが、COVID-19の影響により渡航を延期する必要が生じた。また、高齢者への感染を防ぐことが最も大切なことと考え、高齢者の協力を得て博物館で行う予定であった実証実験が実施できなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
COVID-19の動向次第であるが、2022年度中に、これまで延期していた北欧諸国での現地調査を行う予定である。これをもって、繰越・再繰越分を含む2020年度の研究成果と合わせて本研究課題による調査研究は完結することになるが、得られた研究成果の公表は今後も引き続き行う。また、感染拡大防止の観点から、研究チーム全体での対面での意見交換の機会が持てなかったため、研究成果の共有の機会を持ち、最終的な成果の集約及び公開を行う予定である。
|