研究課題/領域番号 |
17H02033
|
研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
高岡 貞夫 専修大学, 文学部, 教授 (90260786)
|
研究分担者 |
苅谷 愛彦 専修大学, 文学部, 教授 (70323433)
泉山 茂之 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (60432176)
東城 幸治 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (30377618)
佐々木 明彦 信州大学, 理学部, 研究員 (20608848)
齋藤 めぐみ 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (40455423)
吉川 夏彦 独立行政法人国立科学博物館, 分子生物多様性研究資料センター, 特定非常勤研究員 (60726892)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ジオダイバーシティ / 生物多様性 / 野生動物 / 進化生態 / 珪藻群集 |
研究実績の概要 |
北アルプスを中心とする山岳地域を対象に、地すべり移動体上の湿地(池沼や湿原)の成立条件とその地域性について、GIS 分析とリモートセンシングによる分析を行った。湿地の分布は北アルプス北部の高標高域で分布密度が高く、最大積雪深、夏季気温、地質、斜面傾斜が分布を規定していることが明らかになった。本研究の主たる調査実施地域である梓川上流域は、湿原のほとんど存在しない地域であり、北アルプスの中でも池沼の果たす生態学的役割が大きい地域であることが確認された。 調査地域内で重点調査対象とする池沼を3か所選定し、水文観測機器やセンサーカメラ等の設置を行ってデータ収集を開始した。またそのうちの1か所であるきぬがさの池では、沿岸部でハンドオーガーによる掘削調査を実施した。得られたコア試料の放射性炭素年代測定の結果によると、約8000年間に堆積した試料が得られたことになるが、約2300年前まではほとんど有機物を含まない堆積物であることが明らかになった。 哺乳類については、梓川最上流域に生息するニホンザル横尾群(35頭)のうちのメス個体にGPS首輪を装着し、行動追跡を実施した。学術捕獲許可を環境省から取得した後、6月に麻酔銃により捕獲し、GPS首輪を装着して放獣し、11月末にGPSを回収した。これに記録されたデータから、奥又白池や涸沢周辺が利用されていたことが明らかになった。 両生類と水生昆虫については現地で調査対象候補種の生息状況を確認し、一部のサンプリングを行うとともに、それらの種に関して遺伝構造の調査で使用する遺伝子マーカーの開発を行う等の環境整備を行った。 珪藻類については、採取された池沼の表層泥試料を用いて珪藻群集観察用のプレパラートと電顕試料を作製した。これらを用いて、産出する珪藻種の同定作業に着手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度研究実施計画に記載した項目の大半が予定どおりに進行している。成果の一部は学会で発表を行った。全体的に順調に進んでいるといえるが、重点調査対象とした3か所の池のうちの1か所で、観測体制の整備が不完全なものがある。
|
今後の研究の推進方策 |
研究者間で綿密に連絡を取りながら、実施計画に沿って研究を進めていく。重点調査対象とした3か所の池のうち、天狗池では観測機器の設置の一部が昨年度に完了しなかった。これは国立公園での調査の一部について許可を得ることが遅れたことと、調査時における天候が良くなかったことによる。今年度は消雪が進んだ時期に早急に設置作業を行い、観測体制を万全なものにする。研究成果は研究者間で共有しあって相互に検討できるようにするとともに、学会での成果公表も行っていく。
|