研究課題/領域番号 |
17H02037
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
花岡 伸也 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (90467027)
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研究分担者 |
奥村 誠 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00194514)
久保 幹雄 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (60225191)
伊呂原 隆 上智大学, 理工学部, 教授 (60308202)
間島 隆博 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (30392690)
橋本 英樹 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70548114)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 人道支援ロジスティクス / 緊急支援物資輸送 |
研究実績の概要 |
東日本大震災および熊本地震後の人道支援ロジスティクスの運営上の問題について,インタビュー調査を継続的に実施した。また,応答段階の緊急支援物資ラストマイル輸送問題として,次のようなモデル分析を実施した。 (1)電子機器やインターネットが使用できない災害発生直後においても緊急支援物資配送が実現可能な事前巡回路方策を検討するため,事前巡回路を用いた配送と配送計画ソルバーを用いた配送を比較し,前者の有効性を検証した。 (2)準備段階と応答段階における意思決定を統合的に扱う数理計画モデルを提案し,タイの洪水を事例として取り上げ,モデルの有効性を検証した。準備段階では災害発生前に備蓄倉庫の位置と緊急支援物資の保管量を決定し,応答段階では避難所の設置位置決定と備蓄倉庫から各被災地への緊急支援物資の配送ルートを決定する。評価尺度として,各種費用の他に被災地間の支援の公平性を考慮した。 (3)高知県地域防災計画の被害想定に基づき,余震による津波の影響が収まったことを前提とした小型船舶による輸送システムについて,輸送機材をエージェントと見立てたマルチエージェントシステムによる解析を実施し,有効性を検討した。 (4)準備段階において十分な対策が難しい開発途上国を念頭に,応答段階で一時的に使用する緊急支援物資集積所の位置決定支援方策として,集団意思決定下におけるファジイ評定法を応用した多目的最適化モデルを構築し,2015年に発生したネパール地震を対象にその有効性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我が国の東日本大震災や熊本地震における人道支援ロジスティクスの運営上の問題を調査しただけでなく,タイの洪水やネパールの地震を対象にしたモデル構築およびケーススタディ分析も実施しており,情報収集およびモデル構築の両面で汎用性の高い分析ができている。また,緊急支援物資ラストマイル輸送の統合システムの一つである事前巡回路方策の有効性を検証している。
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今後の研究の推進方策 |
緊急支援物資ラストマイル輸送の統合システムの構築に向けて,「カンバン方式」・「バケツリレー方式」・「事前巡回路戦略」のモデル構築と検証を引き続き実施する。また,国内外の大規模災害における人道支援ロジスティクスの実態調査も引き続き実施する。
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