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2017 年度 実績報告書

監視の強化は規範意識に影響を与えるか:監視システムの理論化と実証分析

研究課題

研究課題/領域番号 17H02044
研究機関創価大学

研究代表者

岡田 勇  創価大学, 経営学部, 准教授 (60323888)

研究分担者 山本 仁志  立正大学, 経営学部, 教授 (70328574)
諏訪 博彦  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (70447580)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード監視システム / 社会的ジレンマ / 進化ゲーム理論
研究実績の概要

初年度は、監視の程度が人間の規範意識に与える影響に関する理論的条件を明らかにすることを目的に、理論解析を実施した。まず、社会的ジレンマゲームに対し、完全公的観察システムと不完全私的観察システムに分類した。これは想定する監視システムが後者のモデル化を要請するのに対し、ほとんどの理論研究が前者のモデル化を仮定していることから、このモデル化の違いがシステムの挙動に与える影響を検討するためである。後者のモデルの挙動を分析するため、はじめに個体ベースシミュレーションを実施した。分析の結果、不完全私的観察システムで協力が成立する規範は完全公的観察システムで協力が成立する規範の一部に限定されることや、どのような規範であっても協力を維持するためには無条件協力規範という特殊な規範と共存する必要があることなどを明らかにすることができ、成果を [1] に発表した。次に、数理解析を可能にするための手法の開発に取り組んだ。これまで多くの理論研究において不完全私的観察システムが扱われなかったのは、モデルが閉じない(方程式の数が無限の連立方程式系で構成される)からであった。本研究において有限の連立方程式系にモデルを集約できる手法を開発することに成功し、それを単独観察法を名付けた。この手法によって理論分析の扉を開くことができ、その成果は学術誌に投稿・審査中である(2018.4現在)。これらの成果を踏まえ、監視の程度によって協力を維持できる規範の特定化が可能になったことから、初年度の目標は達成されたと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は当初予定していた理論研究を予定通り実施できたため。進捗は予定通りであるが、成果は想定以上であったことは特筆しておきたい。特に単独観察法の開発は学術的に大きなインパクトをもたらすと予想している。この手法の開発が、この研究を基課題とした国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)の採択につながっている。

今後の研究の推進方策

第二年度と第三年度は、理論研究(初年度実施)で明らかとなった協力を維持しうる規範が、実際の人間の規範意識として受容されているのかどうかを実証的に検討する。第二年度では前半に実験システムの仕様設計・構築・実装(外注)を行う。後半に、実際に被験者実験を行い規範意識の測定を行う。実施機関は創価大学・立正大学・奈良先端科学技術大学を想定し、それぞれの大学において研究倫理委員会などに実施の申請を行い承認を求める。第三年度は、得られた実験結果を分析し理論研究との接合を試みる。そのため統計分析を予定している。また、理論との整合の観点のほかに、現実の監視システムとの接合も重要であることから、更なる実験によって補完する必要があると想定され、それをこの年度で実施する予定である。最終年度では、これまでの研究成果(理論研究・実証研究)を統合し、現実の監視システムにおいて適応的な規範について検討し、望ましい監視システムのあり方といった設計思想に結び付けていきたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Tolerant indirect reciprocity can boost social welfare through solidarity with unconditional cooperators in private monitoring2017

    • 著者名/発表者名
      Okada Isamu、Sasaki Tatsuya、Nakai Yutaka
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 7 ページ: 1,11

    • DOI

      10.1038/s41598-017-09935-2

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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