研究実績の概要 |
今年度(第三年度)は、昨年度に行った実験研究の結果を踏まえ、理論的な分析を行った。理論モデルでは監視の程度をはじめ、認知エラーの程度やゲームにおけるコスト便益比などいくつかのパラメータが存在し、その値によって適応的な規範意識が異なる。一方、現実の住民参加型通報システムでは、監視の程度と規範意識に関して定量的な相関関係があると推定できる。この両者の分析結果を統合することで、理論的な裏付けのある現実の理解が可能となる。このため、我々が開発した各種の手法を統合し、監視を想定した系を解析可能なモデリングを試みた。この点が完結したことが今年度最大の実績である。この成果は、「岡田勇, 社会的ジレンマに適応的な規範の計算社会科学:理論・実験・シミュレーションの統合, 社会情報学 8(2), pp.19-33. 2019(12)」や「Okada I, Yamamoto H, Uchida S. Hybrid assessment scheme based on the stern-judging rule for maintaining cooperation under indirect reciprocity. Games 11(1), 13. 2020(2) 」「Yamamoto H, Okada I, Taguchi T, Muto M. Effect of voluntary participation on an alternating and a simultaneous prisoner's dilemma. Physical Review E 100, 032304, 2019(9)」「Toriumi F, Yamamoto H, Okada I. A Belief in Rewards Accelerates Cooperation on Social Media. Journal of Computational Social Science, pp.1-13, 2019(7)」などの査読付き論文への掲載として公表された。
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