研究課題/領域番号 |
17H02046
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
雨宮 護 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60601383)
|
研究分担者 |
高木 大資 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (10724726)
島田 貴仁 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 室長 (20356215)
村上 大輔 統計数理研究所, データ科学研究系, 助教 (20738249)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 犯罪 / 予測 / モデル / 警察 |
研究実績の概要 |
本年度は以下の2点に取り組んだ.①犯罪の実データを用いた,日本において予測精度の高い地理的犯罪予測手法の構築,②日本の警察関連実務の状況を踏まえた,研究成果の適切な現場還元の方法の検討. ①については,まず,データアーカイブとして,2019年7月に各都道府警察のウェブサイトで新たに公開された犯罪オープンデータを収集し,手口間の属性の異同を吸収したデータセットを構築した.次に,地理的犯罪予測の前提を確認する作業として,地域住民のランダムサンプリングによって得られた社会調査データに空間Durbinモデルを適用し,防犯活動に関連する近隣の社会関係的要因を明らかにするとともに,マルチレベルモデルと比較し,データ間の近接性によって近隣を定義する空間モデルのほうが防犯活動への近隣効果をより適切に検出できることを確認した.最後に,地理的犯罪予測手法の構築として,犯罪リスクに対する幅広い地理的要因の効果を場所毎・時点毎に捉えるための加法混合モデルを高度化するとともに,同モデルを大規模な犯罪関連データに応用するための高速推定手法を開発し,シミュレーション実験および東京都内の犯罪件数データへの適合性を確認した.さらに,還付金詐欺,女性への痴漢,子ども・女性への脅威事案といった日本において検討の必要性の高い罪種を対象とし,実際の犯罪データを対象とした分析を行い,予測精度の高い新手法を構築した. ②については,海外の警察で実施される空間的側面に着目した警察活動として,ホットスポット警察活動,地理的犯罪予測,問題解決型警察活動,地理的プロファイリングの4つを取り上げ,その発展の歴史と異同を整理し,日本における今後の発展性を議論した.また,英国の犯罪学研究者と共同で英国及び日本の警察ボランティアの実態を調査し,研究成果の現場への適切な還元方法についての基礎的知見を得た.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通りにデータ取得や分析が進んだほか,新たに英国での警察ボランティアの調査が可能になるなど,成果は当初予定を超えて得られている.
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度に向け,予測手法の高度化と現場への実装可能性を追求するための研究を進める.
|