研究課題/領域番号 |
17H02060
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
原田 賢治 静岡大学, 防災総合センター, 准教授 (40378922)
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研究分担者 |
高橋 智幸 関西大学, 社会安全学部, 教授 (40261599)
菅原 大助 ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 准教授 (50436078)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 津波堆積物 / 東北地方太平洋沖地震津波 / 水理実験 / 津波土砂移動数値解析 / 堆積物分布 / 堆積物粒径 / 陸上地形 |
研究実績の概要 |
津波堆積物は過去の津波来襲履歴の重要な物的証拠として取り扱われているが、津波堆積物からどのような規模の津波がその地域に来襲したのかを十分に明らかにする事はできていない。本研究では、津波堆積物に含まれる情報を高度に利用する事を目指し、津波堆積物の形成過程に基づいた来襲津波の特徴の評価方法の開発のため、平成29年度は下記の研究を実施した。 1)東北地方太平洋沖地震津波で東北地方の海岸に形成された津波堆積物の調査結果に基づいて、津波堆積物形成に関する地形と堆積物分布および来襲津波の特徴の整理を行った。特に、津波高、津波堆積物分布、地形勾配、堆積物粒径に着目して特徴の整理を行った。2)津波堆積物の形成過程を把握するため、津波堆積物の分布と津波流動特性について水理模型実験により計測を行った。津波堆積物の分布が、同じ入射津波であっても陸上地形の条件に強い影響を受けて大きく変動する事を計測できた。3)掃流砂、浮遊砂を考慮した津波土砂移動数値解析モデルの再現性の検証のため、津波堆積物形成状況の水理実験に対する再現計算の検討を行った。津波による砂の移動総量はおおむね再現される結果となった。また、浮遊砂濃度の計算手法の適切な設定を検討する事により再現性が改善されることが示され、更なる検証が必要である事が分かった。4)津波堆積物に基づく来襲津波の特徴の評価方法については、1)から津波高、津波堆積物分布、地形勾配、堆積物粒径の組み合わせによる多様な堆積物形成の状況を把握することができ、2)から陸上地形形状条件により堆積物の形成過程が異なる事が示されたため、津波堆積物分布と地形の条件の組み合わせと来襲津波の特徴を関連づけできる可能性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画をしていた、1)東北地方太平洋沖地震津波によって形成された津波堆積物の現地調査結果に基づく津波堆積物の形成条件の整理、2)水理実験による津波堆積物の形成過程の再現検証、3)津波土砂移動数値解析モデルによる津波堆積物形成の検討について研究を進めることができ、それぞれについて研究成果が得られている。さらに、これらの研究成果をもとに、4)津波堆積物に基づいた来襲津波の特徴の評価手法の開発に向けての影響要因の把握についても検討を進める事ができており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策として、1)東北地方太平洋沖地震津波による津波堆積物の形成状況の整理の結果に基づいて、対象地域における津波数値解析により来襲津波の条件を検討し、地形条件と堆積物形成条件の関係について検討する。2)粒径条件の堆積物への影響を検討するため、粒径に着目した津波堆積物形成過程の水理実験の計測を行う。3)津波堆積物の水理実験の計測結果について津波土砂移動数値解析モデルによる再現計算をおこない、再現性の検証とモデルの改良を行い、堆積物形成過程についての把握をする。4)上記の1)から3)の検討を通して得られた津波堆積物の形成過程と来襲津波の関係性を整理して、津波堆積物から来襲津波の特徴を把握する手法を構築して行く。
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