研究課題/領域番号 |
17H02070
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
近藤 民代 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (50416400)
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研究分担者 |
MALY Elizabeth 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00636467)
馬場 美智子 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 准教授 (40360383)
井内 加奈子 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (60709187)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 土地利用管理 / 不動産の買い上げ / 災害保険 / 居住コントロール / 復興計画 |
研究実績の概要 |
低頻度メガリスク型沿岸域災害の復興減災期において講じられた土地利用管理の事例を報告し、期待される効果と課題を取りまとめた。事例はニュージーランドのカンタベリー地震、米国のハリケーン・サンディ、東日本大震災である。地震やハリケーン(外力)が誘発した液状化、高潮、津波による沿岸被災であり、外力、現象、特徴等は異なるが、被災から8~9年が経過し、復興と減災を連続的に進める「復興減災期」と次の災害に向けての「災間」にあたる被災地である。土地利用規制や建築制限がかかると共に、被災者が沿岸域から移転をすることによって、都市の空間構造が変容するケースの復興研究である。 3つの災害の復興減災期における土地利用管理の仕組みと実態を示し、それが都市の持続性、住みよさ、レジリエンスの向上や被災者の生活回復にどのように貢献しうるか、課題は何かについて考察した。保険料負担が住み続けることを困難にする可能性、不動産買い上げにおける社会的公正と透明なプロセス、インフラや広大な居住禁止エリアの維持管理などが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は3つの災害を対象にして土地利用管理の期待される効果と課題を総合的に取りまとめたが、災害別のより詳細な分析がまだである。具体的にはカンタベリー地震におけるリスクレベルに応じたゾーニングに関する分析・考察、ハリケーン・サンディグリーンインフラ整備計画の策定プロセスと実行段階におけるズレの分析などである。レジリエンスの要素である復興の時間を早めること(Rapidity)と、計画のflexibilityとadaptabilityを上げることが両立するのか?が1つの論点である。これらを2020年度に論文として取りまとめる。
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今後の研究の推進方策 |
第1に持続性(S)、住みやすさ(L)、レジリエンス(R)を共に獲得できる計画・制度・政策の理論化が未達である点である。本稿では土地利用管理とそれら3つをバラバラに論じたに過ぎない。例えば沿岸部からの居住地移転や居住禁止はリスク回避(R)に効果的であるが、居住域が拡大・低密度化すると持続性や住みよさが低下する場合があり、S、L、Rのトレードオフに対する配慮が必要である。第2に複数のツールを積み上げた土地利用管理としてではなく、一体的なシステムとしての土地利用管理と居住環境=f (S, L, R)の関係を分析することである。第3に居住環境のS、L、Rを土地利用管理だけでなく、人間活動を合わせた居住環境復興メカニズムを明らかにしなければならない。 研究分担者は、別の評価・分析の視点を設定して、事例毎の状況を取りまとめる。以上に基づいてS、L、Rを回復・獲得するための居住環境復興プランニング技術を提案する。なお申請時には海外からの関係者を招聘した研究成果ワークショップを計画していたが、新型コロナウィルス発生のため中止し、上記の通り 研究実施計画を変更した。
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