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2017 年度 実績報告書

降雪種と雪粒子濃度の時空間変動を考慮した暴風雪の内部構造解明と予測モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 17H02073
研究機関国立研究開発法人防災科学技術研究所

研究代表者

根本 征樹  国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 主任研究員 (30425516)

研究分担者 西村 浩一  名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10180639)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード吹雪 / 暴風雪 / 雪氷災害
研究実績の概要

近年頻発する,激甚化した暴風雪の時空間分布の予測精度を高めて雪国の防災力を飛躍的に高めるために,非定常乱流解析に有効なラージ・エディ・シミュレーション(Large-Eddy Simulation)を用いて,3次元・非定常流れ場における暴風雪の物理モデルを構築する.モデル開発は,以前開発した吹雪の3次元LESモデルをベースに改良,高度化を進めた.LESの場合,格子スケール以下(サブグリッドスケール:SGS)の乱流渦はモデル化されて取り扱われるが,このSGSモデリング手法は特に大気境界層流れ場の計算精度に大きく影響する.SGSモデルについて,LESにてこれまで広く用いられてきたスマゴリンスキーモデル(SM)のほか,地表面付近の接地境界層流れ場の予測精度に優れるLagrangian-Averaged Scale-Dependent Dynamic Model(LASD),乱流構造を考慮したコヒーレント構造スマゴリンスキーモデル(CSM)も新たに導入し,大気流れ場の予測精度についてどのモデルが優れるかについて検討した.その結果,後者2つのモデルは風速鉛直分布,無次元風速勾配の再現性に優れること,またCSMは低い計算負荷でLASDに近い結果をもたらすことなどが示された.次に,降雪分布などのスカラー輸送量の計算もモデルに組み込むとともに,スカラー量について物理的に不自然な振動解などが生じない様,Hybrid Spectral/Finite-Volume Algorithm (Chamecki et al., 2008)を導入した.
その他,複合気象センサ,光学式ディスドロメータ等をによる気象,降雪種モニタリングシステムを構築し,北海道道東部の中標津町において,地形(特に山岳からの距離)が暴風雪および降雪の分布に及ぼす影響を評価するための実測データを収集した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新たに導入したLESモデルにより,大気境界層における流れ場および降雪空間濃度などを正確かつ効率的に計算することが可能となるなど,本研究課題の中心となる暴風雪モデル開発について,その基本部分の構築に成功した.特筆すべき点として,新たに導入した乱流モデルおよびアルゴリズムにより,高精度の解を効率的に得られる状況に至ったことが挙げられる.また,野外観測について,気象,降雪状況の自動計測システムを既に確立できたことも重要な進展である.
以上より,本課題については「(2)おおむね順調に進展している」と評価できる.

今後の研究の推進方策

LESを用いた3次元・非定常流れ場における暴風雪の物理モデル構築を継続する.雪面付近においては,積雪粒子の削剥および堆積過程も考慮する.雪面での積雪の削剥量と,「雪面近傍の降雪・吹雪粒子濃度と粒子落下速度の積」で定義される堆積量とのバランスも陽に計算に加えることで,モデルに吹きだまりの効果を加えることも可能となる.その
他,温湿度の輸送方程式も組み込み,大気安定度の影響も考慮するほか,地形の影響を組み込むなどの改良を行ない,実在地形上の計算を想定した準備も進める.
冬期においては,複合気象センサ,光学式ディスドロメータ,モニタリングカメラなどを用いた,暴風雪時の気象状況および,降雪粒子の粒径と落下速度(降雪種),視程などの測定も継続する.これにより降雪種と視程との関係を明らかにするとともにモデルの降雪計算の高度化に資する.観測地は,前年と同様に,吹雪・吹きだまりおよび暴風雪の発現頻度が近年極めて高く,調査期間中に5回程度,吹雪観測の機会が期待できる北海道標津郡中標津町周辺とする.観測では,北西から南東にわたる測線に沿った複数箇所に機器を設置することで,地形(特に山岳からの距離)が暴風雪および降雪の分布に及ぼす影響を実測データに基づき評価するほか,おろし風と暴風雪発生との関連およびメカニズムについての検討を実施する.

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公開日: 2018-12-17  

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