研究課題
基盤研究(B)
移植医療に限界が見えてきた医学において再生医療はその次を担うべきある意味究極の医療となる存在である。だが現在の再生医療で作成できる組織は機能こそは再現できるものの強度という点では循環器系代用臓器として不十分である。今回生体内組織合成で作成したシートが異種動物の体内で長期にわたって破損せず機能したということは今後異種動物でこの手法で作成したシートが人心膜の代用臓器として使用できる可能性を示したことになる。
心臓血管外科
成熟した異種組織を完全に脱細胞することは困難であり、異種移植はいまだに臨牀応用されていない。今回生体内組織形成術によって異種動物で作られた弁用シート(biosheet)が脱細胞処理を行うことで拒絶反応が抑えられるだけでなく、強度を保ったまま弁機能を長期にわたって維持したことは画期的なことである。これによって自己体内で自己の代用臓器を作るという狭い領域だけではなく、動物で代用臓器を作り人間の体内に用いるという生体内組織合成術の汎用性が高まった。今後、より人間に適応しやすい動物種を探索し、生体内組織合成により代用臓器を作り脱細胞して移植することで障害臓器特に心血管系へ用いる可能性が生まれた。