研究課題/領域番号 |
17H02102
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
原田 敦史 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50302774)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 遺伝子ベクター / アスペクト比 / DNAフォールディング / 温度変化 |
研究実績の概要 |
本研究では、電荷中和されたpDNAが規則的に折れたたまれるという特性を能動的に制御することにより、ポリプレックス内でのDNA分子フォールディングの制御による転写過程の効率化を通した高効率遺伝子導入を実現する。これまでに申請者がナノファイバー状ポリプレックスを形成することが明らかとしているカチオン性高分子(多分岐PEGを末端にもつpoly(L-lysine):maPEG-PLL)を基盤として、ポリプレックス表面での多分岐PEG密度を制御することによるポリプレックス形態(DNAフォールディング)制御を検討する。本年度は、前年度までに合成方法を確立した温度応答性高分子であるpoly(N-isopropylacrylamide)とPLLからなるブロック共重合体(PNIPAAm-PLL)の添加によるポリプレックスのアスペクト比の影響、温度変化によるPNIPAAmブロックの脱水和によるアスペクト比変化を検討した maPEG-PLLとPNIPAAm-PLLを種々混合比で混合した溶液をpDNAを混合することによって調製したポリプレックスについて、室温と40℃に昇温した際のポリプレックス形態を原子間力顕微鏡観察により評価した。PNIPAAm-PLL比率が高いと昇温により凝集体形成が生じるが、低PNIPAAm-PLL比率では顕著な変化は認められなかった。そこで、低PNIPAAm-PLL比率での溶液に分散した状態での粒径変化を動的光散乱測定により評価した。その結果、昇温によりポリプレックスの可逆的なアスペクト比変化が誘導されることが確認された。さらに、培養細胞に対する遺伝子導入実験においても低アスペクト比の状態で細胞取込を行い、細胞取込後、高アスペクト比へ変化する温度刺激を行うと遺伝子発現効率の増大が誘導されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞に対する遺伝子導入実験において低アスペクト比の状態で細胞取込を行い、細胞取込後、高アスペクト比へ変化する温度刺激を行うと遺伝子発現効率の増大が誘導されることが示唆されており、目的とした能動的なポリプレックス形態変化による遺伝子発現効率の向上が誘導できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは特定の細胞株を用いた実験を行ってきたため、今年度は異なる細胞株に対しての有効性、さらにDNAワクチンとしての機能評価を行うことにより、目的を達成する。
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