研究課題/領域番号 |
17H02111
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
寺本 憲功 佐賀大学, 医学部, 教授 (40294912)
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研究分担者 |
小玉 哲也 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40271986)
山本 格士 佐賀大学, 医学部, 助教 (80762187)
稲井 哲一朗 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (00264044)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ナノ医工学 / 核酸医薬品 / 血管新生 |
研究実績の概要 |
本研究は、『血管新生に深く関与する低酸素誘導因子(HIF-2α: Hypoxia-Induced Factor-2α)を特異的に抑制する制御因子(Int6)』を標的とし、これまでに全く無い新しい設計理論に基づいて作成した核酸医薬、『RNA/DNA キメラ型siRNA』を『ハイブリッド型ナノバブル』中に封入し、『ソノポレーション法(音響穿孔法)』を用い、皮膚や粘膜の創傷部周辺へ低侵襲的に本siRNAを導入し、新生微小血管を誘導させ、その結果、新たに形成された微小血行路を介して皮膚や粘膜の創傷治癒が促進されるか、否かについて遺伝子、組織および動物個体レベルで解析し、創傷治癒の期間の大幅な短縮化を目指す、これまでに無い画期的な低侵襲性創傷治癒法の創成を研究目的とする。すなわち、本申請研究は“安心”かつ“安全”な創傷修復の促進を具現化する基礎的研究である。 体液(血液や漿液)中にてRNA/DNAキメラ型siRNAが分解され難いハイブリッド・ナノバブルの完成を目指す。ボナック(株)と共同開発したRNA/DNAキメラ型siRNAとナノバブルの両者を内包し、脂質二重膜にてコートされた構造のハイブリッド・ナノバブルを作成し、体内での分解の軽減を図る。また脂質二重膜の内側は液相のため、キメラ型siRNAは長期間、安定した状態にて保存される。キメラ型siRNAが、ナノバブル中に内包されたか否かについての確認はヌクレアーゼ処理後、電気泳動法を用いたタンパク泳動度の大きさ(バンドの分子量)にて核酸の有無を判定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者は毛を剥離したマウスの下肢骨格筋において強力に微小血管を誘導するRNA/DNAキメラ型siRNAを開発8226;精製することに成功し、ソノポレーション法による導入を行った。 さらに本研究を発展させ、健常マウスの皮膚や粘膜に対して同様にソノポレーション法にて本siRNAを導入し、骨格筋で得られた微小新生血管の誘導作用が皮膚や粘膜においても同様に観察されるか、否かについて経時的かつ定量的な解析を行いった。本キメラ型siRNAを導入後、各々の一定時間(12時間、24時間、48時間、72時間)の後、皮膚および粘膜組織の小片を採取し、本キメラ型siRNA によるInt6の選択的ノックダウン効果をreal-time PCR法およびWestern blotting法にて確認する。また同様に血管新生関連因子群(Angiopoetin 1、VEGF、bFGF 等)の発現についても遺伝子・タンパク質レベルにて検証した。しかし、マウス個体差によって管新生関連因子群(Angiopoetin 1、VEGF、bFGF 等)の発現レベルが異なり、ソノポレーション法による照射作業(照射角度、面積 等)あるいはマウス個体の状態(マウスの週齢、暴露後の組織摘出時間等)を現在、詳査中である。 今後、実験に用いるマウス個体数を増加し、その時間経過に伴う、データのばらつきを解消していく。また皮膚と骨格筋との臓器差の有無についても詳細に解析していく。現在、新たな核酸配列のsiRNAも精製済みなため、新たな配列のsiRNAでも本研究を実施している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)RNA/DNAキメラ型siRNA導入後の皮膚&粘膜における血管新生の確認 研究代表者は既にマウスの下肢骨格筋において強力に微小血管を誘導するRNA/DNAキメラ型siRNAを開発;精製することに成功し、ソノポレーション法による導入にて血管新生効果を確認した。さらに本研究成果を発展させ、健常マウスの皮膚や粘膜に対して同様にソノポレーション法にて本siRNAを導入し、骨格筋で得られた微小新生血管の誘導作用が皮膚や粘膜においても同様に観察されるか、否かについて経時的かつ定量的な解析を行い、CT画像解析にて明らかにする。 ① 新生血管に関する分子生物学的解析~本キメラ型siRNAを導入後、各々の一定時間(12時間、24時間、48時間、72時間)の後、皮膚および粘膜組織の小片を採取し、本キメラ型siRNA によるInt6の選択的ノックダウン効果をreal-time PCR法およびWestern blotting法にて確認する。また同様に血管新生関連因子群(Angiopoetin 1、VEGF、bFGF 等)の発現についても遺伝子・タンパク質レベルにて検証する。 ② CTスキャンによる血管造影~マウス用CTスキャンを用い、コンピュータ処理にて三次元立体画像解析を行い、新生微小血管の血管走行およびその分布について解析し、本siRNAによる血管新生効果を評価する。また研究が当初計画通りに進まない場合には(i)ナノバブルの量やキメラ型siRNAの濃度を調節し、siRNAの組織内への導入効率を上昇させる。また(ii)RNA/DNAキメラ型siRNAの塩基配列の再設計を行う。
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