研究課題/領域番号 |
17H02114
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
守本 祐司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 生理学, 教授 (10449069)
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研究分担者 |
正宗 賢 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00280933)
野本 貴大 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (00734732)
西山 伸宏 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (10372385)
内田 広夫 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40275699)
辻本 広紀 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 医療安全・感染対策部, 教授 (80554998)
檜 顕成 名古屋大学, 医学系研究科, 招へい教員 (90383257)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光温熱治療 |
研究実績の概要 |
【背景と目的】申請者らは、がん治療法として、ドラッグデリバリーシステム型光吸収薬剤(ICGラクトソーム)と近赤外光照射を組み合わせた光温熱治療システムの開発を進めている。本課題では、光温熱制御機構を駆使した内視鏡型高効率がん治療システムを開発して、最終的にはICGラクトソームとの併用による統合的な治療システムとして機能させることを目指している。 2017年度にサーモグラフィ内視鏡のプロトタイプ作製と腫瘍温度の制御機構を確立できたので、2018年度は、腫瘍の同所性病態モデル動物を使って基盤的治療システムとしての有用性につき検証した。 【対象と方法】発光遺伝子(Nano lantern)を導入した神経芽腫細胞をマウス副腎に移植して同所性病態モデルを作製し、約2週間後にICGラクトソームを経静脈投与した。その後、生体発光・蛍光イメージング装置で腫瘍からの発光ならびに腫瘍部位でのICGラクトソーム由来の蛍光を確認した。次に、波長808nmの近赤外光を照射し、腫瘍温度をサーモグラフィで測定しながら、近赤外光照射中の腫瘍温度が43度以上になるよう維持した。 【結果】蛍光観察によって、ICGラクトソームが腫瘍に限局して集積することが確認できた。また、設定温度を維持させた光温熱治療によって、腫瘍の深度方向約5mmまでほぼ例外なく細胞死を誘導できた。さらに近赤外光の照射方法の工夫により治療深度は最大10mmに達した。 【結論】ICGラクトソームの腫瘍選択的な集積を確認でき、蛍光観察によるリアルタイム局在診断に有用であることが示唆された。また、ICGラクトソームと光温熱制御機構を用いた光温熱療法によって、腫瘍選択的な抗腫瘍効果が発揮された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度に構築した基盤的治療システムの有用性を確認でき、鏡視下システム移行への大きな足掛かりを得た。
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今後の研究の推進方策 |
基盤的治療システムを鏡視下システムへと移行する。ラットの腹腔内腫瘍モデルを構築して腹腔鏡下での検証を行う。内視鏡操作にて、リアルタイムの局在診断から光温熱治療が行える診断治療システムを確立する。また、治療深度ならびに抗腫瘍効果のさらなる向上を目指して照射方法の最適化を図る。
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