研究課題/領域番号 |
17H02119
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
伊藤 修 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (00361072)
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研究分担者 |
上月 正博 東北大学, 医学系研究科, 教授 (70234698)
室谷 嘉一 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (70754943)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 循環器・高血圧 / 腎臓 / ストレス / 細胞・組織 |
研究実績の概要 |
長期的運動による臓器障害抑制効果の機序を組織線維化やコラーゲン代謝を中心に解明するため、慢性腎不全モデルラットにおいて長期的運動による腎線維化調節因子と腎レニン-アンジオテンシン(RA)系の変化を検討した。Sprague-Dawleyラットに5/6腎摘除もしくは偽手術を行い、5/6腎摘除ラットには10週齢時からトレッドミル走行運動 (傾斜角0°、20m/ 分、60分間 / 日、5回 / 週)を12週間実施した。5/6腎摘除は、総走行距離を低下、血圧、蛋白尿、血清クレアチニン (Scr)を増加、糸球体硬化、腎間質線維化を惹起した。長期的運動は、総走行距離を延長、血圧、蛋白尿、Scrを低下、糸球体硬化、腎間質線維化を改善した。5/6腎摘除は、I型コラーゲン、TGF-β1、matrix metalloproteinase (MMP)-2、MMP-9、tissue inhibitors of metalloproteinases (TIMP)-1の蛋白発現を増加させた。長期的運動は、5/6腎摘除により増加したI型コラーゲン、TGF-β1、TIMP-1の蛋白発現を有意に減少させ、MMP-2とMMP-9の蛋白発現をさらに増加させた。5/6腎摘除は、アンジオテンシノーゲン (AGT)、アンジオテンシン変換酵素 (ACE)、(プロ)レニン受容体、アンジオテンシンII (Ang II)1型受容体の蛋白発現を増加させ、長期的運動は、5/6腎摘除により増加したAGTとACEの蛋白発現を減少させた。一方、5/6腎摘除は、レニン、ACE 2、Ang II 2型受容体、Mas受容体の蛋白発現を減少させ、長期的運動はそれらを増加させた。以上の結果から、5/6腎摘除慢性腎不全モデルラットにおける長期的運動の腎保護効果の機序には、腎のコラーゲン産生低下と分解亢進、腎RA系の改善の関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主たる目的である長期的運動の臓器障害・線維化への有効性の機序の解明に関して、5/6腎臓摘出腎不全ラットにおける長期的運動の腎線維化抑制効果の機序には、腎のコラーゲン産生低下と分解亢進、腎RA系の改善の関与を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の5/6腎臓摘出腎不全ラットにおける長期的運動の臓器保護効果を腎臓から心臓の検討に発展させると共に、平成30年度に計画している腎障害や心不全等の臓器障害を早期に発症するDahl食塩感受性ラットにおいても長期的運動の臓器保護効果やその機序を明らかにしていく予定である。
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