2019年度、および課題延長期間の2020年度においては、主に、ソフトアクチュエータを用いた肩義手の構築と両手協調における肩義手制御戦略の実験を行った。以下のように概述する。 1) ソフトアクチュエータを用いた肩義手の構築:1.1) Mckibben 型人工筋肉を用いた4自由度ロボットアームと6自由度ソフトロボットハードを用いて、肩義手を構成した。1.2) ソフトアクチュエータの入力-出力の非線形特性を考慮した最適制御モデルを構築し、制御系としての安定性、応答特性、定常特性をシミュレーション実験、実機実験において、検証した。1.3) 実際の使用に想定した肩への固定方法、正確な位置制御のためのキャ リブレーションや各パラメータの初期化の方法を確立した。1.4) 筋電センサ、慣性センサの入力を信号源とし、肩周辺の筋活動から、手先のリーチング動作の方向、グラスピングの種類を実時間に判別するインタフェース部を構築した。 2) 両手協調における肩義手制御戦略の実験:動作の成功率、実時間性を指標にして、以下の実験を行った。2.1) 箱持ち上げ動作における複数動作(異なる方法へのリーチング、異なるグラスピング、箱を抑える動作)の切り替えについて、事前に学習したすべての動作候補から、生体信号を用いて、一つを選択する並列選択法と、動作間の順序関係考慮する直列選択する方法の比較を行った。2.2) 切断側が健常側の動作に追従する健常側追従戦略、および健常側が切断側に合わせて行動する切断側主導戦略の比較実験を行った。 結果、2.1)では、直列選択方法、並列選択法と比べ、成功率、実時間性共に優れ、2.2)では、動作の自律度を考慮した健常側追従戦略は切断側主導戦略と比べ、優れることが判明した。
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