研究課題/領域番号 |
17H02131
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
二瓶 美里 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (20409668)
|
研究分担者 |
硯川 潤 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 研究室長 (50571577)
菅原 雄介 東京工業大学, 工学院, 准教授 (60373031)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 移動支援機器 / 操作系 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究では,身体と車両,環境との動的なインタラクションを最適化することによる上肢フリー移動支援機器の提案・開発を行い,それによる効果検証を行うことを目的とする. (1)移動支援機器使用時の上肢動作の分析:日常生活の立位・移動活動中の上肢動作に対し,その発生頻度や移動支援機器の使用により制限される動作の種類・時間的割合を定量的に示すことを目的に,ライフログデータの収集を行って影響を分析し調査した.日常生活中の動作をその特徴に従って13個に分類して発生頻度を調査した結果,移動中・静止中の物の移動と手指動作,身体矢状面に水平に物を引く・押す,といった5つの発生頻度が高い動作が明らかになった. (2)移動中の上肢作業の非拘束性による効果と評価:移動支援機器導入の影響として,(1) 機器使用中には機器の把持により移動中の物の移動や手指を用いる細かい動作の頻度の低下,(2) 身体支持基底面の増加や機器操作の必要性に伴う動作時間の増加,の2点が発生することが定量的に示された. (3)上肢フリーのための一人乗り移動体の開発:高齢者の歩行機能維持を目指した座位乗車型の下肢操作式ハンズフリーモビリティの提案を行い,この機体に搭載する操作手法の開発を行った.開発した移動体は,後輪駆動輪(インホイールモータ),前輪オムニホイール,操作インタフェース(ペダル),座位部(サドル)で構成される.ペダルとサドルに取り付けた6軸力センサ値とクランク角度の回転数を用いて移動体上で行うペダリング動作から,車両の速度と旋回角速度を決定する.旋回角速度についてはDBT(Deep Binary Tree)を用いて,個人に合わせた初期条件を得たのち,直進性を向上させるための追加学習を行う手法を提案した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
移動支援機器使用時の上肢動作の分析、移動中の上肢作業の非拘束性評価、上体・座位保持システムの開発、身体特性と外乱に合わせた車両の開発、下肢駆動装置の開発を行い、その後最小車両設計検討、車両移動方法の検討、試作機評価実験を行う予定であった。下肢駆動装置の開発を行っていたところ、新たな車両実装時の制約条件と筋骨格特性の評価方法が判明した。研究遂行上、この条件と評価方法の関連を見極めることが不可欠であるため、軌道計算・機構検討を追加で実施する必要が生じたため、研究計画を変更した。一方で、支援機器の会はてゃ初号機が予定より早く完成した。
|
今後の研究の推進方策 |
上肢作業の非拘束性による効果と評価、上体・座位保持システムの設計、軌道計画や機構検討を含めた下肢操作型駆動機構・最小化設計指針を行い、車両移動方法の検討を行う。
|