研究課題/領域番号 |
17H02134
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
建内 宏重 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (60432316)
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研究分担者 |
市橋 則明 京都大学, 医学研究科, 教授 (50203104)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 変形性股関節症 / 進行予防 |
研究実績の概要 |
本研究では、変形性股関節症(以下、股関節症)の進行予防に向けて、運動療法など保存療法で改善可能な要因に着目し、その危険因子の探索を行ってきた。従来、申請者らが実施している前向きコホート研究の長期フォローアップを行い、疾患進行に関わる危険因子の特定と、その危険因子間の関連性の解析、危険因子に基づいた患者のサブグループ化を行った。 その結果、まず、歩行に関する危険因子として股関節累積負荷の増大、股関節・脊柱に関わる危険因子として立位姿勢での脊柱アライメント異常と脊柱柔軟性低下が抽出された。それらの危険因子を基に、患者のサブグループ化を試みたところ、患者群は3グループに分類された。グループ1は、比較的若年で歩行に関わる股関節累積負荷の増大を特徴とし、グループ2は、比較的高齢で脊柱柔軟性低下や関節裂隙の狭小化を有していた。また、グループ3は、脊柱、特に胸椎のアライメント異常と柔軟性低下を併せ持っていた。このように、異なる危険因子を持つ複数のサブグループの存在が明らかになったことは、疾患進行予防に向けた治療戦略立案に重要な知見である。 また、歩行時の股関節累積負荷に関わる外的股関節内転モーメントの増大に関して、それを助長する歩容の解析を行った。その結果、股関節内転および骨盤の対側下制が増大するほど外的股関節内転モーメントが増大することが明らかとなった。この知見は、股関節負荷の軽減に向けた歩行指導において重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
股関節症の進行予防に向けて、危険因子を特定したうえで、それに対する治療介入を行い、疾患進行予防における効果を検証する予定であった。しかし、複数の危険因子が特定された上に、異なる危険因子を有する複数のサブグループが存在することが明らかとなり、サブタイプに応じた介入方法の立案が必要となった。また、歩行時の負荷を軽減するためにどのような歩容を目指すべきかを検討する必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、歩行における股関節の過剰な負荷を軽減するための介入方法の開発、また、立位姿勢における脊柱アライメント異常や脊柱柔軟性低下に対する介入方法の開発、さらに、対象者をサブグループに分類するための方法を検討する予定である。
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