研究課題/領域番号 |
17H02144
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮崎 明世 筑波大学, 体育系, 准教授 (10517197)
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研究分担者 |
澤江 幸則 筑波大学, 体育系, 准教授 (20364846)
山口 拓 筑波大学, 体育系, 助教 (20643117)
真田 久 筑波大学, 体育系, 教授 (30154123)
深澤 浩洋 筑波大学, 体育系, 教授 (50313432)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オリンピック・パラリンピックのレガシー / オリンピック教育 / パラリンピック教育 |
研究実績の概要 |
2019年度は、昨年度立ち上げた「オリンピック・パラリンピックを通して考える」教材サイトに、新たな教材として「フェアについて考える」を加えた。教材は中高生の授業で対話的に学習できるように、指導計画とワークシート、教員のための資料と関連リンクなどを整理して公開した。 昨年度全国展開事業の推進校に対してインタビュー調査を行い、その成果を「学校におけるオリンピック・パラリンピック教育の長期にわたる取り組みについての事例的研究」として第70回日本体育学会において発表した。インタビューから、長期間継続して教育に取り組むためには、先の見通しをもって無理のない範囲で行うことや教師が意義を感じて積極的に取り組めるような環境づくりが大切であること、教師が子どもたちの成果を実感していることや子どもたちだけでなく、教師や地域にも良い影響が現れていることが明らかとなった。 6月にニューヨーク(アメリカ)で開かれた国際学会(AIESEP)に参加して、オリンピック・パラリンピック教育の成果を評価するための方法として、海外ではどのような実践や成果があるかについて情報収集を行った。本研究に直接利用できるような方法を見つけることは難しいが、量的な成果とともに質的な評価を行うことが必要であると考えており、世界においても研究方法が確立されているわけではないため、さらなる検討が必要である。 2020年1月にローザンヌ(スイス)で開催された、Youth Olympic Games(YOG)におけるオリンピック教育の教材や普及・活用の方法などについての情報を収集するため、2020年3月にローザンヌを訪問しIOCの教育担当にインタビューをする予定であったが、コロナウイルスの感染拡大防止のため、急遽渡航を中止した。調査は2020年度に延期する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は研究分担者の専門的知識を生かして、「フェアについて考える」についての新たな教材を教材サイトに加えることができた。これまでの教材サイトの登録者は約40名で、その内訳は中高、特別支援学校の教員、大学の研究者などが中心である。スポーツ庁のオリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業(以下、全国展開事業)の推進校にも教材サイトを紹介し、少数であるが登録もある。登録者をさらに増やすための方策が必要である。昨年度中にもう一つ、「女性のスポーツ参加について考える」教材を作成する計画であったが、教材およびワークシート、参考資料の完成には至らなかった。また、教材を利用した教師のフィードバックを得たり、授業を受けた生徒の成果を図るような調査用紙を作成する計画であったが、現在検討段階である。 教材の開発や普及及び評価法を開発するにあたり、海外の知見を得ることも重要と考えている。昨年度は国際学会への参加はできたものの、YOGにおける教育システムに関する情報収集は実現できなかった。一昨年度のブエノスアイレスYOGの調査にも行けなかったことから、これまでに計画していた情報収集は思うように進んでいない。さらにコロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態に際し、オリンピック・パラリンピックの開催が延期となっただけでなく、海外及び国内の移動もままならない状況にある。インターネットを使った情報収集を進めるが、その方法にも限界があるため、今後の状況を見極めて対応を考えたい。 当初計画にはなかった、全国展開事業の推進校を活用したインタビューデータの収集は順調に進んでおり、今後もデータの収集と分析を進め、教師から見たオリンピック・パラリンピック教育の成果を明らかにしたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は本研究の最終年度に当たり、まとめに入る必要があるが、そもそも計画段階では最終年度をオリンピック・パラリンピックの開催年度と考えていた。コロナウイルスの世界的流行により、オリンピック・パラリンピックの開催が延期される事態となり、状況に応じた計画の変更が必要となる。しかしながら現状では、先の見えない状況であり、計画を立てることも困難である。臨機応変に計画を変更しながら研究を進める。 教材サイトにおける新たな教材の公開については、昨年度検討段階であった「女性のスポーツ参加」についての教材開発を継続し、なるべく早い時期に公開する。さらに、緊急事態宣言が出され、学校が休校になり、自由に活動できないような未曽有の事態となったことから、これまでの価値観が覆されるような社会の変化を踏まえ、改めてスポーツの価値、オリンピック・パラリンピックの在り方を考えさせるような教材を開発することも意義があると考えている。教材の開発に努め、早い時期の公開を目指す。教材サイトの登録数を増やし、教師のフィードバックを得ること、授業を受けた生徒の成果を図るような調査用紙を作成することについて検討を進め、今年度中にデータの収集を行う。 全国展開事業の推進校に対してインタビューを行い、教師から見たオリンピック・パラリンピック教育の成果についての情報をさらに収集し、分析して成果を示す。本研究の目的である、オリンピック・パラリンピック教育を大会終了後もレガシーとして残すためにはその成果を明示することが重要である。様々な角度から成果を示すことが必要であると考え、教師から見た評価として本研究の一つの成果としたい。 海外との交流については上記の理由の通り困難なことが予想されるが、状況に応じてインターネットも活用して情報の収集と活用に勤める。
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