研究課題/領域番号 |
17H02149
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久保 啓太郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70323459)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 筋スティッフネス / 筋束長 / 超音波 |
研究実績の概要 |
(研究1)Active筋スティッフネスに及ぼす筋線維組成の影響 先行研究により、走および跳運動などのパフォーマンスや効率が、筋線維組成と密接に関連していることが示されている。一方、筋および腱の力学的特性もパフォーマンスや効率と関連していることから、筋線維組成と筋および腱の力学的特性との間にも関連がみられることが予想される。49名の成人男性を対象に、足底屈筋群におけるパッシブ筋ステイッフネス、アクテイブ筋ステイッフネス、腱ステイッフネスを超音波法により測定した。さらに、電気刺激中における最大張力までの到達時間(Time to peak torque; TPT)を筋線維組成の推定に用いた。その結果、TPTはパッシブ筋、アクテイブ筋および腱ステイッフネスと、いずれも有意な相関関係はみられなかった。以上の結果、ヒト生体において筋および腱の力学的特性は筋線維組成と関連しないことが明らかになった。
(研究2)伸張反射の影響を含むActive筋スティッフネスの定量法の開発 本研究では、伸張速度を低くして、伸張開始から110msまでの範囲を分析対象とすることで、伸張反射の影響を含むActive筋スティッフネスを定量可能か否かを検証した。その結果、両手法によるActive筋スティッフネスの値には有意な差が認められず、両者の間に有意な相関は見られなかった。しかし、低い伸張速度条件において分析範囲を60msと110msで分けて評価したActive筋スティッフネスは、両者の間に有意な相関が見られた。これらの結果より、低速度での伸張により伸張開始から110msまでの範囲を分析対象とすることで、伸張反射の影響を含むActive筋スティッフネスが定量可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年に発表した収縮条件下での筋スティッフネス(Active筋スティッフネス)に加えて、新たに伸張反射の影響を含むActive筋スティッフネスの定量法を開発することができた。両手法によるActive筋スティッフネスの機能的役割や可塑性に関する研究を進めることが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
伸張反射の影響を含まないActive筋スティッフネスと伸張反射の影響を含むActive筋スティッフネスが、それぞれパフォーマンスに及ぼす影響やトレーニングなどに伴う可塑性の相違などを明らかにしていきたい。
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