研究課題/領域番号 |
17H02155
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
後藤 一成 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (60508258)
|
研究分担者 |
片山 敬章 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (40343214)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 低酸素トレーニング / 短縮性筋活動 / 伸張性筋活動 / 糖代謝 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、低酸素環境での運動時の糖代謝応答を安定同位体標識グルコースを用いて評価した。 [研究1]男性9名を対象に、30分間のランニング(短縮性および伸張性筋収縮によって運動を遂行)を (1)通常酸素条件(通常酸素環境で測定した最大酸素摂取量の65%強度の走速度)、(2)低酸素条件R(低酸素環境で測定した最大酸素摂取量の65%強度の走速度)、(3)低酸素条件A(通常酸素環境と同一の走速度)の条件で実施をした。運動開始時に安定同位体(13C)により標識したグルコースを経口摂取し、運動中の呼気中に排出される13CO2/12CO2比の変化から、摂取をした標識グルコースの酸化利用の程度を評価した。また、酸-塩基平衡に関わる各指標やエネルギー代謝指標の変化を検討した。その結果、運動前後での血中乳酸濃度の上昇の程度は、低酸素環境Aが低酸素条件Rおよび通常酸素条件に比較して有意に高値を示した。一方で、運動中の13C排出量(外因性グルコースの酸化量を反映)は、低酸素環境Aが通常酸素条件に比較して有意に低値を示した。これらの結果から、低酸素環境でのランニングは、通常酸素環境での同一速度で行うランニングに比較して筋グリコーゲン利用は亢進するが、外因性の糖利用はむしろ低下する可能性が示された。
[研究2]男性10名を対象に、通常酸素環境または低酸素環境での高強度ペダリング運動(おもに短縮性筋収縮によって運動を遂行)を実施した際の糖代謝や内分泌応答、酸塩基平衡に関わる指標の変化を比較した。その結果、運動に伴う血中乳酸濃度の上昇やpHの低下、血漿アドレナリンおよびグルカゴン濃度(肝グリコーゲンの分解の関連)の変化には条件間で差はみられなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動中の糖代謝の評価を評価するための手法(血中グルコースの変化、酸素摂取量および二酸化炭素産生量を用いた炭水化物酸化量の算出、安定同位体グルコースを用いた評価)は十分に確立し、これまでに必要なデータを収集している。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は同一被験者に対して、伸張性筋活動と短縮性筋活動を用いた運動を低酸素環境下で実施した際の糖代謝の相違を検討するための実験を実施する。
|