研究課題
本研究課題では、不動性筋萎縮モデルとして尾部懸垂を用い、筋萎縮におけるプロスタノイドの産生動態をLC-MS 質量分析による定量、質量分析顕微鏡を用いた質量分析イメージングにより観察し、プロスタノイドが筋萎縮の主因となるか否かを検討した。これまでに、プロスタノイドの検出から、その産生阻害剤の効果検証を段階的に進め、演繹的な実験計画により分子標的の同定を試みてきた。今年度は、その効果検証として、尾部懸垂マウスにおけるプロスタノイド阻害剤の投与効果の検討を行った。前年度までに得られた筋萎縮におけるプロスタノイド産生の結果をもとに、プロスタノイドの産生阻害剤をマウスに投与し、筋萎縮の抑制効果を判定した。これら実験の結果、プロスタノイド産生阻害剤の投与マウスでは筋萎縮の改善効果が認められた。さらに、筋組織におけるプロスタノイドの発現解析により、尾部懸垂により萎縮する筋組織におけるプロスタノイド産生細胞の動態解析を行った。既存法であるIn vivo 発光イメージャー、3次元マイクロCT 解析を併せて行った結果、筋萎縮におけるプロスタノイド産生細胞に関わる候補細胞を解析した。これらは炎症性疾患に関わるいくつかの免疫細胞などで構成されていることが明らかとなった。さらに、産生細胞を調べたところ、血球系細胞であるマクロファージ系の細胞によるプロスタノイド産生が筋萎縮に関与することが示唆された。細胞培養実験を併せて行った結果、マクロファージではプロスタノイド合成酵素の産生が亢進していた。本研究成果は、将来の廃用性筋萎縮やサルコペニア、広くはロコモティブシンドロームの治療につながる分子標的としてのプロスタノイド産生阻害剤の開発のみならず、SiRNA 導入、受容体拮抗阻害薬、天然由来機能性因子を活用し、不動性筋萎縮の新規な治療薬や治療因子の開発につなげてゆきたい。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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