研究課題/領域番号 |
17H02161
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
相澤 勝治 専修大学, 文学部, 准教授 (80375477)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アンドロゲン / メカニカルストレス / 転写調節 |
研究実績の概要 |
本研究では、メカニカルストレスを介した筋局所アンドロゲン産生機構の転写メカニズムと生理作用について解明することを目的とした。メカニカルストレス(物理的刺激)は、身体運動による骨格筋の恒常性の維持に必要な因子の一つである。活性型アンドロゲンであるジヒドロテストステロン(DHT)は、性ホルモン合成酵素の5alpha-reductase(srd5a1)によりテストステロンから合成され、運動によって骨格筋局所において活性化される。我々はsrd5a1の転写調節因子を探索し最初期遺伝子Egrファミリーが候補因子として挙げられたが、運動刺激に対する応答性については明らかにされていなかった。そこで平成30年度では、骨格筋細胞へのメカニカルストレス刺激がEgrファミリー遺伝子発現の応答に与える影響について検討した。マウス筋芽細胞株C2C12細胞にメカニカルストレスを負荷(1時間、2時間、3時間)し、Egrファミリー(Egr1、Egr2、Egr3、Egr4)遺伝子発現を測定した。その結果、Egr1、Egr2、Egr3遺伝子発現はメカニカルストレス負荷1時間に増加し、Egr4は3時間に増大した。メカニカルストレスによるEgrファミリーの活性化はsrd5a1転写活性化に関与し、身体運動による骨格筋局所のアンドロゲン産生を介した骨格筋の適応に関与している可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度では、骨格筋細胞へのメカニカルストレス刺激がEgrファミリー遺伝子発現の応答に与える影響について検討した。骨格筋培養細胞(C2C12)にメカニカルストレス(周波数0.17Hz、伸展率20%、1時間、2時間、3時間)を負荷し、Egrファミリーの遺伝子発現をqPCR法、タンパク発現レベルをウエスタンブロット法にて評価した。また、Egrファミリーの各 siRNAを遺伝子導入試薬(Lipofectamine)を用いて導入し、Egrファミリーをノックダウンした際のメカニカルストレス応答性Egrについて検討しているが、条件検討の段階で当初の予定より時間を要したことから、研究進捗に遅れが生じた。次年度の研究計画を遂行するための研究環境は整っており、今後の進捗が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画としては、平成30年度に整備した研究機器を用いて進めていく予定である。さらに、メカニカルストレス応答性Egrファミリーの転写調節因子を探索することを目的とする。転写因子の探索のためバイオインフォマティックスによってEgrファミリープロモーターに結合する候補転写因子を抽出する。候補となる転写因子の発現ベクターをEgrファミリープロモーター領域を挿入したレポーターベクターとともに、C2C12細胞に導入後、Egrファミリーの転写活性をルシフェラーゼアッセイにて評価し、候補転写因子についてはメカニカルストレスに対する応答性についても検討する。また、マウス個体内において、身体運動による筋局所アンドロゲンの活性化メカニズムとして、Egrファミリー転写活性化因子に着目し、骨格筋代謝における作用について検討する予定である。
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