研究課題/領域番号 |
17H02164
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
中村 桂子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00211433)
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研究分担者 |
清野 薫子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (10508336)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ヘルスプロモーション / ラオス / タンザニア / アフガニスタン / モンゴル / ベトナム / ヘルスリテラシー |
研究実績の概要 |
標準的な疾病予防プログラムによって健康格差が拡大することがあり、これに対し「Health Promotion Paradox」の概念が提案されている。本研究では、①糖尿病患者教育における社会格差の構造の解明、②地域住民の生活習慣病予防リテラシーと技能の社会格差の解析、③母子保健における社会格差縮小をもたらす介入要素の分析、④子どもの健康なライフスタイル教育が健康格差縮小にもたらす効果の検証、⑤文献レビューを行い、「Health Promotion Paradox」の構造、と健康の社会的格差の縮小をもたらす介入方法について検討し、Health Promotion Paradox」の理論的枠組みを提案する。 ①持続可能な開発目標の指標をふまえ、生活習慣病予防リテラシーと技能に関する地域評価調査票を作成した。②モンゴルの生活習慣病調査データベース、アフガニスタンで実施した生活習慣病リスク要因調査データベースに基づき、社会格差による運動の格差、栄養摂取との格差、脂質、グリコヘモグロビン、血圧の測定値による評価の格差との関連性を明らかにした。③ラオス、タンザニアの保健医療調査データベースに基づき、地域の社会格差、地域医療資源格差、女性の保健知識、家族内の女性の地位、女性の社会生活における自律度との関連性を明らかにした。④ベトナム、フエ市において、子どものライフスタイル、近視、生活リズム、都市化との関連性について分析した。日本の学校における生活習慣病予防の教育プログラムに関わる、学校の物理的環境に関する調査を実施した。 ⑤生活習慣病の社会格差とヘルスプロモーシ ョン介入について、文献レビューを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①生活習慣病予防リテラシーと技能の社会格差とその変化:生活習慣病予防リテラシーと技能に関する地域評価調査票に基づき、持続可能な開発目標の指標をふまえ、社会格差との関係を分析する調査票を作成した。 ②地域住民の生活習慣病予防リテラシーと技能の社会格差の解析: モンゴルの生活習慣病調査データベースに基づき、運動習慣と社会格差の関連性を解析して論文を発表した。アフガニスタンで実施した生活習慣病リスク要因調査データベースに基づき、社会格差による栄養摂取の格差、脂質、グリコヘモグロビン、血圧の測定値による評価の格差との関連性を明らかにし、論文を発表した。 ③母子保健における社会格差縮小をもたらす介入要素の解明:ラオス、タンザニアの保健 医療調査データベースに基づき、地域の社会格差、地域医療資源格差、女性の保健知識、家族内の女性の地位、女性の社会生活における自律度との関連性を明らかにし、論文を発表した。 ④子どもの健康なライフスタイル教育が健康格差縮小にもたらす効果:ベトナム、フエ市において、子どものライフスタイル、近視、生活リズム、都市化との関連性について分析した。日本の学校における生活習慣病予防の教育プログラムに関わる、学校の物理的環境に関する調査を実施した。 ⑤ヘルスプロモーション・パラドックス研究の包括的文献レビュー:生活習慣病の社会格差とヘルスプロモーシ ョン介入について、文献レビューを行い、先進国および開発途上国の生活習慣病の社会格差研究の最新知見を整理した。
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今後の研究の推進方策 |
①糖尿病患者教育と社会格差の構造を検討する。 ②生活習慣病予防リテラシーと技能の社会格差を測定する、地域指標を開発する。 ③母子保健における社会格差縮小をもたらす介入要素の解明・県別の保健医療資源の経年的変化を調査し、母子保健関係資源の偏りを分析する。 ④生活習慣病予防、健康的な食生活の知識と技能の社会格差を縮小する子どもを対象とするプログラムの効果・肥満と痩せの二重の負担を背負うベトナムの子どもに対する健康なライフスタイルに関する教育介入を検討する。 ⑤ヘルスプロモーション・パラドックス研究の包括的文献レビュー・母子保健、感染症予防の社会格差とヘルスプロモーション介入およびヘルスプロモーション理論に関するレビューを行い、「ヘルスプロモーション・パラドックス」の概念を整理する。
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