研究課題/領域番号 |
17H02168
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
井上 洋士 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 主任研究員 (60375623)
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研究分担者 |
戸ヶ里 泰典 放送大学, 教養学部, 教授 (20509525)
関 由起子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30342687)
若林 チヒロ 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (40315718)
米倉 佑貴 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 助教 (50583845)
片倉 直子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60400818)
細川 陸也 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 助教 (70735464)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 応用健康科学 / 性・エイズ教育 / 健康情報学 |
研究実績の概要 |
HIV 陽性者は HIV 関連スティグマのために孤立しがちであり、地域の対面支援サービスを活用しにくい現状にある。肯定的対処につながる姿勢を獲得できる機会を、対面とは異なるサービス形態で提供しなければ、彼らの安定した<生>の再構築や QOL 向上は実現しにくい。そこで本研究では、Web の活用に着眼し、Web支援ツール活用による健康支援を目指す。2019年度は「実施フェーズ」と位置付け、これまで検討してきたWeb支援ツール最終版公開およびWeb支援ツール評価のための HIV 陽性者対象大規模 Web 調査実施を予定した。具体的には、Web 支援ツールの最終版を公開し、HIV陽性者向け各種Webページ、あるいは大々的なPRにより HIV 陽性者らの利用を促進すること、および、Web 支援ツール公開半年後に、日本国内HIV 陽性者2千人ほどの回答を想定した大規模 Web 調査を開始、Web 支援ツール利用状況に加え、アウトカム評価指標として肯定的対処、 positive change、精神健康・主観的健康、生きがい、ストレス対処力 SOC(Sense of Coherence)、属性・特性・健康状態を調べることを予定していた。研究実績としては、前者のWeb 支援ツールについては、「性病リスクセルフチェック」ウェブサイト制作を軸として、就労支援、薬物使用者への支援、HIV陽性告知をされて間もない人への支援、U=Uなどを組み合わせることにより、総合的な支援ツールの公開を2019年度内に達成することができた。後者の調査については、Web 支援ツール制作と公開の遅れから、先行して2019年11月から調査開始するものとし、公開後については、予定通り、Web 支援ツールへの曝露状況とアウトカム評価指標との関連性を検討できる構成とした。2020年5月末日で565人からの回答を得るに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
進捗状況が遅れている理由の一つ目は、HIVをめぐる世界的な変化である。特にU=Uが認知されるようになり、HIVのウイルス量が検出限界値未満であると、他者へのHIVの性感染はないということが診療ガイドラインにも謳われるようになった。こうした大きな情報の変化は、Web支援ツールにより支援を行う際にも大きく影響を及ぼすと考えられ、情報提供の方向性を軌道修正することとした。二つ目の理由として、新型コロナウイルスの影響がある。Web支援ツール公開による影響・効果を測定しようと、Web調査を試みたが、緊急事態宣言の時期と重なることとなり、結果として十分なN数が集まらない状況に陥っている。2020年5月現在、調査〆切を延長することにより十分な解析に耐えうるように対応している。さらに、国内・海外の学会学術集会・総会での発表も予定していたものの、概ねキャンセルないしはオンライン開催と変わったため、予定を変更し、当初計上していた予算を、追加制作費に充てることとした。
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今後の研究の推進方策 |
Web支援ツール制作やWeb調査の遅れを、最終年度で取り戻すべく、最大限の努力をしていく。Web支援ツール制作はひとまず完成し、2019年度末には公開をすることができた。また、そのPRについても、広く実施している。今後は、これらの継続的展開をするべく、研究代表者および研究分担者間で協議をし、ロードマップを再構築しているところである。一方で、効果測定のWeb調査については、2020年7月末を〆切とすることとした。ここで、論理チェックなどを施してデータセットを作成し、9月には分析に入るように、研究代表者、研究分担者、研究協力者らとの連携のもと、最大限の努力をしていく。最終的には2020年度末までに、想定した研究計画を最後まで遂行できるように、スケジュール調整をしながら推進していく方策をとる。研究者については、変わらずに、全員が一貫して最終年度まで一丸となって取り組むこととする。
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