• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

疲労の慢性化機序の解明およびその臨界期の同定と抗疲労・健康戦略の創出

研究課題

研究課題/領域番号 17H02172
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

崔 翼龍  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (60312229)

研究分担者 鈴木 治和  国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (80333293)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード恒常性 / 疲労 / ストレス / 炎症性サイトカイン
研究実績の概要

前年度までに“疲労負荷―疲労回復”を短い間隔で繰り返すことによって生体内の恒常性維持機構の機能異常を誘導し、日常の疲労蓄積から徐々に慢性化していくユニークな慢性疲労モデルを用いて、睡眠や体温調整機構が徐々に変調していくことを明らかにしてきた。特に体温調節においては疲労負荷前半では体温が上昇し、適応的に尻尾の血管拡張を介した散熱現象が現れるが、疲労負荷後半では、尻尾の散熱回数が低下することや散熱時の体温が非散熱時の体温より低いなど体温調節機序の異常が観察された。本年度は、これらのバイタル調整機能の変化に加え、疲労の慢性化を伴う血中ホルモンやサイトカインの経時的な変化を検討した。結果、血中コルチコステロンは疲労負荷を伴って徐々に上昇し、負荷期間中ずっと高値を維持しているのに対して、ACTHは疲労負荷初期に上昇しその後一旦低下するが、疲労負荷後半にはコルチコステロンのネガティブフィードバック機能の低下を示唆する有意な上昇が認められた。また、疲労負荷による生体酸化ストレスを評価した検討では疲労負荷後半には血中の酸化ストレスマーカーであるdROM値が有意に上昇することを明らかにし、コルチコステロのネガティブフィードバック調整が酸化ストレスによって低下する報告と考え合わせると、疲労負荷の慢性化によって生体内の酸化ストレスが上昇し、ストレス応答に関わるホルモン調整メカニズムの異常を引き起こす可能性が示唆された。さらに、疲労の慢性化を伴う血中のサイトカインの動態変化を網羅的に探索した結果では、疲労負荷初期にはIL-4、IL-10,IL-13などの抗炎症性サイトカインの上昇傾向が表れ、疲労負荷の後期にはIL-1βやINFγが上昇することも明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね順調に進んでいる。しかし、血中のサイトカインを指標に検討した結果において当初の予想と反して疲労回復が早かったため、もう一度疲労負荷条件検討を行うことで、研究進捗が少し遅れているが、最終年度までには計画とおりに遂行可能だと考えられる。

今後の研究の推進方策

これまでに、徐々に生体内の恒常性維持機構の機能異常を誘導し、日常の疲労蓄積から徐々に慢性化していくユニークな慢性疲労モデルを用いて、疲労の慢性化を伴う睡眠・体温調整機構などのバイタル調節機構の機能変化を検討してきたが、今後、血液や関連臓器の頬るもんやサイトカインなどの動態変化を検討し、疲労の慢性化に関わる神経・内分泌・免疫機能の変化を統合的に解析する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] A voxel-based analysis of neurobiological mechanisms in placebo analgesia in rats2018

    • 著者名/発表者名
      Zeng Y., Hu D., Yang W., Hayashinaka E., Wada Y., Watanabe Y., Zeng Q. Cui, Y.L
    • 雑誌名

      NeuroImage

      巻: 178 ページ: 602-612

    • DOI

      10.1016/j.neuroimage.2018.06.009

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] A clinical quantitative evaluation of hepatobiliary transport of [11C]Dehydropravastatin in humans using positron emission tomography2018

    • 著者名/発表者名
      Kaneko, K., Tanaka, M., Ishii, A., Katayama, Y., Nakaoka, T., Irie, S., Kawahata, H., Yamanaga, T., Wada, Y., Miyake, T., Toshimoto, K., Maeda, K., Cui, Y.L., Enomoto, M., Kawamura, E., Kawada, N., Kawabe, J., Shiomi, S., Kusuhara, H., Sugiyama Y. and Watanabe Y.
    • 雑誌名

      Drug Metabolism and Disposition

      巻: 46 ページ: 719-728

    • DOI

      10.1124/dmd.118.080408

    • 査読あり
  • [学会発表] 慢性疲労動物を用いた疲労の慢性化機序の解析2018

    • 著者名/発表者名
      胡迪、李丹渓、重田美香、岡内隆、渡辺恭良、崔翼龍
    • 学会等名
      第14回日本疲労学会総会・学術集会
  • [学会発表] Functinal change of the thermoregulatory system during chronic fatigue formation in rats2018

    • 著者名/発表者名
      李丹渓、胡迪、重田美香、岡内隆、渡辺恭良、崔翼龍
    • 学会等名
      第14回日本疲労学会総会・学術集会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi