研究課題/領域番号 |
17H02178
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
丁野 純男 北海道科学大学, 薬学部, 教授 (90347790)
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研究分担者 |
戸上 紘平 北海道科学大学, 薬学部, 准教授 (20582357)
板垣 史郎 札幌医科大学, その他部局等, 准教授 (00360925)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 薬物服用習慣 / 肺投与型DDS / 肺線維症 / ニンテダニブ / 可溶化 |
研究実績の概要 |
【目的】本研究では、高血圧薬など薬物の服用習慣により発症することがある肺線維症を標的疾患とした。ニンテダニブは、肺線維芽細胞のチロシンキナーゼ受容体を阻害する肺線維症治療薬である。しかし、ニンテダニブ経口投与時には下痢、悪心及び腹痛などの副作用が高頻度で発現する。肺投与は薬物を病巣に直接送達可能であり、かつ血液を介した他臓器への分布を回避できることから呼吸器疾患治療に有用である一方、ニンテダニブは難溶性であり、可溶化しなければ肺投与することが困難である。本研究では、溶解補助剤としてヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン(HP-γ-CyD)を用いてニンテダニブとの複合体を形成し、その肺投与の有用性を評価した。 【方法】ニンテダニブを20 mM HP-γ-CyD溶液に1 mg/mLとなるよう溶解し、肺投与液とした。肺線維症モデルマウスに調製したニンテダニブ-HP-γ-CyD複合体を肺投与(0.625 mg/kg)、またはニンテダニブ水溶液を経口投与(60 mg/kg)し、投与後の肺中及び血漿中濃度を求めた。また、HP-γ-CyD肺投与後の気管支肺胞洗浄液中の乳酸脱水素酵素を測定した。 【結果および考察】肺線維症モデルマウスにおけるニンテダニブの肺組織中濃度は、水溶液を経口投与した場合よりもニンテダニブ-HP-γ-CyD複合体を肺投与した場合の方が高い値で推移した。一方、血漿中濃度は肺投与した場合の方が低い値で推移した。これらの結果は、ニンテダニブ-HP-γ-CyD複合体の肺投与が、肺内で高い治療効果を示すと共に、全身性副作用を回避できる可能性を示唆している。また、HP-γ-CyDを肺投与した後の気管支肺胞洗浄液中の乳酸脱水素酵素は、PBSを投与したコントロール群と有意な差は認められなかった。以上の結果から、ニンテダニブ-HP-γ-CyD複合体の肺投与は、安全性にも優れている事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
予定通りに進行しており、今後も計画通りの進展が見込まれる。
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