研究課題
2017年度は本研究助成初年度に該当する。まず、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)25名を対象に同意を取得した。この中には2014から2016年度の若手研究Aの研究に参加し、追跡調査として参加を同意いただいた10名も含まれた。この10名は研究計画書に記載の通り、1セットの検査で終了となり、データ解析時は前回の検査結果と比較検討する予定である。一方、今回新規参加で同意取得した15名もおり、その者たちは2017年度に1セットの検査を受け、2018年度以降にも同様の検査一式をフォローアップデータとして再検する予定である。なお、同意を取得するも同意撤回となったものも3名おり、この3名は全て新規に同意取得した者であった。2017年度に同意取得したが検査実施は2018年度に実施予定の者も2名存在する。一式の検査内容は、生活習慣、体組成、内臓・皮下脂肪量、1H-MRS法による肝・筋細胞内脂肪量、安定同位体グルコースを用いたクランプ検査による肝・筋・脂肪組織特異的インスリン感受性、肝生検(病理診断と遺伝子発現)、血中バイオマーカー、メタボローム解析による血漿代謝産物測定となっており、これらは研究計画書に記載の通りである。これらを網羅的に検討し、肝インスリン感受性保持に関与する因子を探索する予定である。なお、これらの検査項目のうち、検体は採取したが、測定は全ての検体が揃ってから一度に実施する予定のもの(肝生検の病理診断や遺伝子発現、血中バイオマーカー、メタボローム解析など)も存在し、データ解析は2018年度以降、データが揃ってからの予定である。
2: おおむね順調に進展している
研究計画書では2年間でエントリーを済ませて、検査を全て終了し、解析に入り、メカニズムの検討ためのマウスでの検討に入る予定となっている。2017年度は初年度となるが、上述の通りのエントリー状況であり、研究は順調に進展していると考えられる。ただし、一部、安定同位体グルコースを用いたクランプ検査結果が出てきているが、2016年度までの結果と比較する際に条件設定で問題が生じている症例が9例ほど存在しており、再検査をしなければならない可能性が生じている。それ以外は順調なので、おおむね順調とした。
まずはエントリーを推進し、予定通りの人数のPreのデータを揃え、Preから1-3年後にあたるPostの検査も適時行っていく。それにより、2014年度から2016年度の横断研究で得られた知見を縦断研究として検証することが可能となり、脂肪肝でありながらも肝インスリン感受性を保持できる因子の同定につなげることが可能となる。PreのデータとPostのデータは随時ファイリングするようにし、何らかのトラブルが生じた際には速やかに的確に対処するように努める。データが全て揃ったところで、初めに肝臓について脂肪と共存できる条件・因子を探求・同定し、その後、筋肉についても脂肪が同程度たまりながらもインスリン感受性が良好なヒトと不良なヒトの特徴の違いを検討して、個体として脂肪と共存できる条件・因子を同定することを目指す。上記の検討によって、脂肪との共存に重要な責任遺伝子も同定することができれば、マウスで過剰発現モデルや発現抑制モデルを用いて検討を深めていく。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Hepatology Communications
巻: 1 ページ: 634-647
10.1002/hep4.1077