研究実績の概要 |
2019年度は、昨年度までにベースラインの検査一式を行った13名に対してフォローアップの検査一式を行い、うち2名が脱落となった。また、新規エントリーとして非アルコール性脂肪肝(NAFLD)1名の方にベースラインの検査一式を行った。本来は昨年度までにエントリーを終了し、2019年度はフォローアップの検査のみを予定していたが、脱落症例もあり、解析可能症例数が総計25名で、検査結果のばらつきも多く、統計解析に耐えられないことが予想されたため、急遽目標症例数を総計50名に増やして研究を継続することとした。 一式の検査内容は、生活習慣、体組成、内臓・皮下脂肪量、1H-MRS法による肝・筋細胞内脂肪量、安定同位体グルコースを用いたクランプ検査による肝・筋・脂肪組織特異的インスリン感受性、肝生検(病理診断と遺伝子発現)、血中バイオマーカー、メタボローム解析による血漿代謝産物測定となっており、これらは研究計画書に記載の通りである。 2019年度は上述の通り、蓄積症例数が十分ではないために縦断的な解析は見送り、横断的に上記項目を網羅的に検討した。特に、従来注目されていた肝臓への脂肪蓄積量と肝インスリン感受性との相関が弱かったことから、肝臓の脂肪を除いた実質部分に着目し、除脂肪肝臓体積を客観的に定量する方法を確立して論文報告した(Igarashi H, et al. 2019 Hepatol Res)。更に、この方法を用いて肝インスリン感受性と除脂肪肝臓体積との相関を調べた結果、有意な負の相関を見出し、病理組織や網羅的な遺伝子発現の検討を重ねて、現在論文投稿中である。
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