研究課題/領域番号 |
17H02181
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
田巻 弘之 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (40253926)
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研究分担者 |
與谷 謙吾 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 講師 (10581142)
山本 智章 新潟医療福祉大学, その他部局等, ロコモティブ症候群予防研究センター副センター長 (30445902)
桐本 光 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (40406260)
石道 峰典 大阪工業大学, 工学部, 講師 (80737536)
大西 秀明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (90339953)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 骨組織 / メカニカルストレス / 磁場 |
研究実績の概要 |
不動による骨量低下の軽減のために、機械的刺激と磁場刺激の効果について検討した。機械的な刺激は静磁場やパルス磁場刺激は骨組織において骨形成を促進する可能性が示唆されているが、それらは刺激の条件によって効果が異なる可能性も示唆されている。また一方で神経や骨格筋など興奮性細胞においては活動閾値の変化など可塑的変化を起こし、刺激条件の差異によって興奮性もしくは抑制性の影響をもたらす。骨組織に対する低強度の機械的刺激処方のコンディショニング刺激としての磁場刺激の効果について検証するために、高齢期の下肢不動モデルラットを対象として各種磁場刺激をコンディショニング刺激を用いて、脛骨海綿骨骨量等への影響を三次元マイクロCTを用いて調べた。 6種類のネオジウム磁石を用いて83~381mTまでの静磁場強度で30分間刺激を行った場合、また機械的刺激のみを処方した場合では、いずれの刺激強度においても脛骨骨梁の骨量(trabecular bone volume)について有意な骨量低下軽減効果を示さなかった。これらの傾向はtrabecular thickness、trabecular number、trabecular separation、connectivity density等の骨梁構造に関するパラメータについても効果を示さなかった。また、機械的刺激前にコンディショニング磁場刺激を実施した場合では、磁場強度が159mT以下の場合では同様に骨量および骨梁構造に対する効果は見られなかったが、磁場強度287mT以上では、単独処方に比べて約20~30%の骨量増加を示した。 これらのことから、骨組織への低強度機械的刺激の効果はコンディショニング磁場刺激の条件により異なり、また機械的刺激が効果発現に満たない強度や時間等の条件であっても、磁場刺激条件によっては骨量低下軽減に対して有効性を示す可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンディショニング磁場刺激の条件が低強度機械的刺激の骨量低下軽減効果の発現に及ぼす影響について検討するために、各種静磁場刺激条件でコンディショニング刺激を行い、効果がみられない、もしくはみられる条件を検索することができた。本研究課題では高齢期の除神経による不動モデルを対象としており、磁場刺激の骨組織内神経線維の影響を除外して検証することができ、神経以外の骨組織内細胞に対する影響を検索することができ、今後の研究を条件設定を含めて効率的に実施することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
明らかとなった磁場刺激条件をもとに機械的刺激処方のコンディショニング磁場刺激の効果を主に骨組織を対象に検証していく。今後は、機能的評価のために骨破断試験を行い、破断強度、最大強度、スティフネス、elastic modulus等を計測、評価する。またマイクロCTを用いた骨梁の構造解析に加えて、皮質骨における影響を皮質骨幅や断面積、Porosity等を計測、評価する。さらに骨組織形態計測や顕微鏡観察、骨組織や細胞の画像解析を実施する予定である。また、除神経した骨組織内神経線維の影響を除した場合においても効果が得られるコンディショニング磁場刺激条件を検証できたので、次に骨組織内の骨細胞や骨芽細胞などを対象に影響がみられる因子を検索する計画である。
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