研究課題/領域番号 |
17H02184
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
若林 一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70220829)
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研究分担者 |
江口 良二 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00461088)
大門 貴志 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40372156)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マイクロRNA / 虚血性心疾患 / 動脈硬化 / 血管細胞 / 人種差 |
研究実績の概要 |
わが国では欧米先進国に比べて虚血性心疾患による死亡率が低い。その原因解明を目的に、日本人と白人の血中マイクロRNA (miRNA)を解析した。 3D-Gene miRNA Oligo chip を用いて、日本人と白人の代表としてのオーストリア人との血中の2565 種類のmiRNAを網羅的に解析した。対象者は現在服薬歴のない健康な男性で、平均年齢はオーストリア人が49.9 ± 6.3歳、日本人が48.2 ± 6.0歳で、両群間に有意差はなかった。BMI、血中LDLコレステロールおよび血糖は、いずれもオーストリア人で有意に高く、HDLコレステロールは日本人で有意に高かった。 日本人とオーストリア人との血中レベルが有意に異なるmiRNAとして、47種類が検出された。過去の文献に基づくシステマティックレビュー(Navickas et al., Cardiovasc Res, 2016)によると、虚血性心疾患に関連するmiRNA として、特に5種類が(miR-1、miR-133、miR-145、miR-208)を挙げられている。本研究ではこれらのいずれのmiRNAレベルにも、オーストリア人と日本人との間で有意差は認められなかった。一方、ST上昇型心筋梗塞で上昇すると報告されているmiR-486(Zhang et al., BMC Cardiovasc Disord, 2015)は、オーストリア人では日本人に比べて2.38倍高く、この差は有意であった。したがって、miR-486は欧米人と日本人の虚血性心疾患の罹患率差に寄与する因子の可能性がある。一方、網羅的解析により日本人とオーストリア人との血中レベルに差を認めた残りの46種類のmiRNAの中にも、動脈硬化の病態に関与するシグナルと報告されているmiRNAがあり、今後さらに虚血性心疾患との関係を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の初年度である平成29年度には、国際共同研究が主たる研究であった。しかし、相手先の都合により、当初予定していたグラーツ医科大学(オーストリア)の研究者が参加できなくなり、新たな相手先研究者が決まるまでに時間を要したため、研究が遅延した。その後、新たな相手方研究者との共同研究は順調に実施されている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の国際共同研究の遅れにより、当初の計画より約6ヶ月遅れて研究は進行しているが、これまでに意義のある研究成果を得た。それをもとに、国内研究を促進して、研究の遅れをできるだけ早期に取り戻し、さらに意義のある研究実績を残すよう努力する。
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