研究課題/領域番号 |
17H02187
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
金 憲経 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (20282345)
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研究分担者 |
大須賀 洋祐 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10741986)
渡邊 裕 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (30297361)
粟田 主一 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (90232082)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 重複フレイル / 身体的フレイル / 社会的フレイル / 認知的フレイル / オーラルフレイル / MCI |
研究実績の概要 |
近年フレイルを身体的・社会的・心理的・認知的・オーラルフレイルに分けて検討しようとする流れである。しかし、単一フレイルより重複フレイルが健康指標の悪化になると指摘されているが、改善を目指す介入研究は皆無である。本研究では、都市部在住重複フレイル高齢女性を対象に実施した介入プログラムの効果を検証し、有効な支援策を提案することを目的とした。対象者は、平成29・30年の包括的健診に参加した65歳以上の都市部在住高齢女性1,587名である。調査項目に基づき、身体的・社会的・心理的・オーラルフレイル、MCIの5つの徴候を検討し、2つ以上を有する場合を重複フレイルと操作的に定義し、該当者245名を選定した。重複フレイル245名に除外基準と包含基準を適用し、介入適格者88名を最終的に確定した。88名をRCTにより、筋力強化運動群29名、認知機能向上群29名、筋力強化+認知機能向上群30名に分けた。介入は週2回、1回当たり60分、3ヶ月間であった。介入前後における繰り返しのある分散分析より3群間の交互作用を検討したところ、握力(F値=5.589、P値=0.006)と通常歩行速度(F値=9.343、P値<0.001)で統計学的有意性が認められた。介入前後の変化について群内比較を行った結果、筋力強化群では膝伸展力、通常歩行速度、クレアチニン、アルブミン、IGF-1、HbA1cの6項目で有意な改善、認知機能向上群では膝伸展力とIGF-1は改善が認められたが握力は有意な低下であった。一方、筋力強化+認知機能向上群では膝伸展力、通常歩行速度、最大歩行速度、GDS総合点、クレアチニン、IGF-1で有意な改善効果を検証した。以上の結果より、重複フレイル改善には運動介入のみあるいは認知機能向上訓練のみでは不十分であり、筋力強化に認知機能向上を目指す包括的運動介入がより効果的であることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度お達者健診参加者1,035名より、身体的・社会的・認知的・オーラルフレイル、MCIの5つの徴候の中で、2つ以上の徴候を有する重複フレイル該当者は12.9%(134名)であった。134名から重複フレイル改善を目指す介入参加者を選定すると参加人数が少ないことから、介入成果を得るには不十分であることは予想される。従って、平成30年度包括的健診参加者552名の中から、重複フレイルを選定したところ111名が該当した。平成29年度・平成30年度の重複該当者245名の集団より、介入参加者を募集するために繰越申請を行い、認められた。繰越申請の計画通りに平成31年3月に説明会開催、事前調査を行った。その後平成31年7月に介入を修了した。
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今後の研究の推進方策 |
重複フレイル245名に除外基準と包含基準を適用し、介入適格者88名を最終的に確定した。88名を対象に平成31年3月に事前調査を行った。事前調査のデータに基づくRCTを施し、筋力強化運動群29名、認知機能向上群29名、筋力強化+認知機能向上群30名に分けた。介入は週2回、1回当たり60分、4月~7月の3ヶ月間実施した。事前調査と事後調査より得たデータについては群間比較、群内比較を行う。詳細に分析した結果をまとめて、国際雑誌に投稿する計画である。
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