研究課題/領域番号 |
17H02191
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 雄治 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (90529851)
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研究分担者 |
鈴木 清隆 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (40303169)
中田 力 新潟大学, 脳研究所, 特任教授 (50281720)
山田 謙一 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (70436773)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自閉症 / エントロピー解析 / 超高磁場磁気共鳴画像法 |
研究実績の概要 |
本研究では、脳の刺激受容性の度合いが安静時(無刺激時)の賦活パターンの複雑さ(高エントロピー状態)に反映されるとの考えに基づき、超高磁場磁気共鳴画像法(7T-MRI)による高分解能脳画像時系列データを用いて、自閉症脳における安静時賦活パターンのエントロピーを評価する。そのため、新たに評価方法を開発し、解剖学的結合および非線形ネットワークシミュレーションと対比することにより、自閉症脳に特異的な情報処理様態とその神経基盤の解明を最終目標としている。初年度である29年度は、当初の計画に沿って、(1)撮像環境の整備、(2)撮像条件の最適化、(3)解析法の検討 を中心に取り組んだ。 (1)撮像環境の整備は、小児や自閉症児が苦痛なく参加できるように、傾斜磁場のslew rate(時間変化率)を画質に影響が生じない範囲で低減し、さらにマグネットの内側に吸音材を付加することで撮像時の静音化を図るとともに。、イヤフォン及びヘッドホンによるノイズキャンセリングシステムを導入した。これに加え、MRIプレパレーションシステム(ゼロテスラ)をさらに自閉症児の使用しやすいように整備した。 (2)撮像条件の最適化は、高空間分解能の実現と撮像音対策も併せて加味しながら行った。実行可能な撮像時間・撮像条件の決定を目指し検討を行い、健常小児ボランティアでの撮像を予定している。 (3)解析方法の検討は、エントロピー解析を中心に検討し、本年度はエントロピーと脳機能との関係を正当化するために、視覚刺激におけるfMRIでのイメージング解析をエントロピー解析で行い、その妥当性につき確認した。この結果は国際会議にて発表する。 これらの結果を基に、平成30年度は撮像条件(プロトコル)や解析方法の更なる検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標である、撮像環境の整備や解析方法の検討は予定通り進んでいる。 エントロピーに着目した機能解析は、視覚刺激によるfMRIにてその妥当性が示されたことから、解析方法の確立には更なる詳細な検討を要するが、方向性に関しては目処が立ったと言える。撮像方法・研究プロトコルの確立に関しても検討が進んでおり、最終的な段階で実際に小児のボランティアにて実現可能であることを確認する。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に引き続き、撮像条件(プロトコル)や解析方法の更なる検討を行う。エントロピー解析は脳機能を評価するに当たり十分に妥当であることが視覚刺激のfMRI解析から明らかとなったことから、自閉症児のネットワークの解明を目指しエントロピーに着目した解析方法の検討を続けていく 一方で、小児や自閉症児を対象とした7T-MRI撮像の準備も開始し、対象者の募集及びエントリーを行っていく。それにあわせて、実行可能な撮像条件などを確立し、撮像環境の整備を進めていく。
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