研究課題/領域番号 |
17H02195
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
松田 佳尚 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (60342854)
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研究分担者 |
渡部 基信 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (30649306)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人見知り / 乳児 / 発達 / 個人差 |
研究実績の概要 |
本研究では「回避行動と接近行動のジレンマ(葛藤)が人見知りの原因」との仮説を立て、行動―脳活動―遺伝子の3つのレベルからメカニズムを探る。接近―回避に関わる遺伝子解析を行い、脳活動計測と行動解析を組み合わせ、人見知りに関する仮説を検証していくことが目的である。 初年度である平成29年度は主に被験者リクルートと、1年間にわたる人見知り度合いの縦断追跡調査を行った。すなわち、乳児の人見知り期に相当する生後6~18ヵ月時期を対象に調査を行った。リクルートの方法として、当研究機関のホームページ、自治体の広報、折り込みチラシ等を使い、募集を行った。その結果、全国からの応募があった。乳児期の人見知りは出現時期も程度も個人差が大きいため、数ヶ月にわたる観察が必要である。また正確に数値化するために、コロラド幼児気質質問紙(CCTI)を使って毎月一度、母親に回答してもらい、各乳児の人見知り度を縦断的に定量化した。回答はウェブサイトを経由して行ってもらった。将来的に遺伝子との関連を探るために、大人数が必要になるが、以前から進めていた人見知り研究の被験者を合わせると、現在約1,200名が集まっている。おおまかに集計したところ、やはり人見知りの個人差が大きく、6ヵ月で既に人見知りが現れている乳児もいれば、12ヵ月を大きく過ぎてから現れる乳児、人見知りがほとんどない乳児、一過的に強く表れる乳児、持続的に現れる乳児などさまざまであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
以前の科学研究費補助金による課題で行った乳児期の人見知りデータベースがあるため、それを利活用することで当初の目標であった1,000名の被験者を超えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
各被験者には1年間にわたる人見知りアンケートの他に、通常の手入れによって得た手足の爪サンプルがある。この爪サンプルから遺伝子を抽出し、人見知りの度合いと関連のある遺伝子を探る。ターゲットとなる遺伝子は①5-HTT、②MAOA、③COMT、④DAT1、⑤OXTRの5種類である。5-HTTとMAOAは脳内のセロトニンの量を調節し、COMTとDAT1はドーパミンの量を調節する。これらの多型は注意欠陥・多動性障害(ADHD)の危険因子としても知られている。解析する領域は5-HTTのプロモーター領域5HTTLPR、MAOAのプロモーター領域VNTR(繰り返し領域)、COMTのエクソン4領域rs4680、DAT1の3’UTR(非翻訳)領域VNTRとイントロン8領域VNTRである。またOXTRはSNPs解析を行う。
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