研究実績の概要 |
人見知りのメカニズムは何か?乳児の定型発達に欠かせないとされる一方、生物学的メカニズムは不明である。本研究では「回避行動と接近行動のジレンマ(葛藤)が人見知りの原因」との仮説を立て、行動―脳活動―遺伝子の3つのレベルからメカニズムを探っている。最終年目となる令和2年度もコロナ禍の影響で進捗が低く、延長申請を行った。12ヵ月間にわたる縦断調査を行い、人見知りの発達変化を追った1,520名の参加があった。コロラド幼児気質質問紙(CCTI)を使って毎月一度、養育者に回答してもらい、各乳児の人見知り度を縦断的に定量化した。人見知りが現れるのは一度きりで、2回のピークが現れることは稀であった。また通常手入れで切った爪を送付してもらい、爪から遺伝子の抽出を行った。接近―回避に関わると考えられる遺伝子(COMT、DRD4、5-HTTと MAOAの多型)ならびにオキシトシンのSNPs解析を上記1,520名中、1,301名に対して行った。各SNPs別にグループ分けを行い、人見知りの発達変化の群間差を解析している。1年間の人見知り発達変化から変化の様子をモデル化している。個人データの中には途中で欠損期間があるものも多いため、最初に完全版のデータセットだけを集めてマルチレベル解析でモデルを推定している。その上でパターンを分類している。不完全データをモデルによって補完した上で、遺伝子多型解析結果との比較を行っている。
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