研究課題/領域番号 |
17H02196
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
森 茂起 甲南大学, 文学部, 教授 (00174368)
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研究分担者 |
安梅 勅江 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20201907)
田中 究 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (20273790)
福井 義一 甲南大学, 文学部, 教授 (20368400)
海野 千畝子 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (30584875)
徳山 美知代 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授 (70537604)
遠藤 利彦 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (90242106)
西澤 哲 山梨県立大学, 人間福祉学部, 教授 (90277658)
北川 恵 甲南大学, 文学部, 教授 (90309360)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アタッチメント / 成育環境 / 児童養護施設 / 子どもの心理治療 / 支援者研修 / 社会的養護 |
研究実績の概要 |
社会的養護のもとで育つ子どもたちと環境との相互作用を検証し、より良い育ちを実現するために、児童期の子どもを対象に、児童福祉施設の環境の評価技法であるHOME、および、子どものアタッチメントを評価するMCASTを日本の福祉実践現場に導入し、実践的に用いるための基礎研究を行なった。HOMEについては、神戸市の児童養護施設協議会を介して協力関係を結んだ施設(複数)において、施設職員に向けてHOMEの実施方法の研修を行い、試行的に子どもに実施してHOMEによる評価と施設における子どもの生活実態の関係を検討する準備を行った。また、次年度に、対象の子どもと評価者を拡大して実施する計画を立て、施設間交流によるHOME実施を職員研修のために用いる手法を開発するための準備を行った。年度末に、1年間の成果を発表する報告会を実施した。 MCASTについては、前年度までにMCASTの評価有資格者複数名の養成を終えたことにより、子ども虐待防止センター(東京)の協力のもとで、心理治療を行う子どものアセスメントと治療実施後の効果評価にMCASTを用いる臨床実践を行った。実施資格取得者によって蓄積された過去のMCASTデータを、本研究期間に得た解離評価の理解を用いて複数の評価者によってスコア化し、臨床データと比較することで治療の効果検証を行う作業を始めた。次年度における総合に向けて、COS(Circle of Security)による支援も含め、アタッチメント評価を用いて心理治療および親子関係支援を行う方法を、対象年齢とアタッチメント障害の深度の幅を拡大して検討する議論を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染の拡大によって、子どもおよび母親を対象とする面接、対面による研修、施設訪問などが困難になったため、進行速度を落として、オンライン会議の利用、一部オンラインによる研修などを行いながら進めてきた。そのために遅れを余儀なくされたが、内容については着実に進行し、最終年度で当初の目標を達成することを目指している。
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今後の研究の推進方策 |
一部予算の繰越を行った最終年度に、HOMEおよびMCASTを用いた実践の継続とまとめを行う。HOMEでは、児童養護施設の成育環境評価と子どもの成育の評価と、児童養護施設職員の研修の方法として形式を定め、児童養護施設における今後の研究および研修に資源を提供する。MCASTでは、実施事例数を増やすとともに、MCASTの実践で明らかになった解離傾向がアタッチメントに与える作用を、児童期以前の子どもにおいても評価できるよう、AMBULANCEという新たな技法も取り入れる。それらを通し、虐待的環境の下で、アタッチメント方略を形成できていない子どもを正しく理解し、有効な心理治療と支援を行う方法を検討する。これら全体を通し、虐待を受けた子どもが暮らす児童福祉施設における臨床実践、および、外来治療の両者における支援、治療の方法論を検討する。年度末に、HOME、MCASTそれぞれの研究成果を総合する公開研究会を開催する。
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