研究課題/領域番号 |
17H02197
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研究機関 | 國學院大學北海道短期大学部 |
研究代表者 |
草薙 恵美子 國學院大學北海道短期大学部, その他部局等, 教授 (90341718)
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研究分担者 |
星 信子 札幌大谷大学短期大学部, その他部局等, 教授 (20320575)
高橋 義信 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (30226906)
高村 仁知 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (70202158)
森口 佑介 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (80546581)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 気質 / 学童期 / 金属暴露 / 実行機能 / 家庭環境 / 前頭葉機能 |
研究実績の概要 |
近年発達障害児が世界的に増加し、その要因として環境化学物質汚染が懸念されている。本研究の目的は、定型発達児を対象に実験及び紙面調査により心理、運動、脳機能を測定し、バックグラウンドレベルの金属暴露量の与える影響について検討することである。平成30年度は、国内4ヶ所で10歳以上の年長児から順に実験を行った。実験開始前に、研究目的や内容等について保護者に説明をし、紙面で承諾を得た。実験では、心理実験(視覚的WM課題、go/no go課題、DCCS課題、第二次誤信念課題、数詞の復唱)、M-ABCの粗大・微細運動4課題、脳機能測定(NIRS)、両掌の画像撮影を行った。4月山梨、6月札幌、8月札幌、9月札幌、滝川、10月滝川、山梨、11月札幌、滝川、奈良、12月札幌、滝川、1月札幌、山梨、2月札幌、滝川、奈良で、合計78名の子どもの実験を行った。同時に父母に紙面で、子どもの気質(EATQ-R保護者版)、M-ABCチェックリスト、食事、父母の気質、父母の育児行動等について尋ねた。なお、脱落歯は乳歯が既にない、或いは家庭での保存希望等の理由により、約半数の子どもの乳歯しか集まらなかった。 TMCQデータの入力分析を行い、本気質質問紙の日本児童での妥当性、並びに縦断データを用いて、気質次元の安定性について検討し、「弱い刺激への快」尺度を除くと、残りの気質尺度については概ね満足のいく信頼性係数が得られ、日本の子どもにも適用可能であることが確認された。また幼児期から学童期にかけて気質は中程度の安定性を示すことが明らかとなった。 ネット調査は、秋に合計3日間、1日4回(午前10時、午後1時半、午後4時半、午後9時)(合計12回)実施した。調査項目は、子どもの就寝、入浴、食事状況、家族の空間的凝集性、子どもの機嫌、活動、習い事、気質行動である。 ネット調査には協力者の約半数が参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心理テスト及び脳機能測定については、予定より多く協力承諾者の約80%の子どもの測定を終了したが、金属暴露量の測定については測定装置の故障により実施が遅れ、骨粉標準試料の信頼限界値内に収まるような灰化・測定法をまだ確立できていない。
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今後の研究の推進方策 |
全国5地域で実験を終えていない子どもの実験・脳活動測定を完了し、心理課題、脳機能測定データの分析に着手する。実験時に回収した父母の調査票データを入力する。指の第4指に対する第2指の測定についての専門的知見を得る。食事調査票の入力及び子どもの栄養素摂取量推定値の算出を業者に委託する。共同研究者として北海道大学歯学部研究者を追加し、乳歯をエナメル質と象牙質に区分した試料を作製する。骨粉の標準試料を用いて、各金属濃度がその信頼限界値内に収まるような骨粉灰化・測定法を確立する。毛髪金属濃度測定装置が故障したため、道総研又は北海道大学オープンファシリティの装置を使用して、再度毛髪標準試料を用いて、各金属濃度の信頼限界値内の測定値が得られるかどうかを確認し、測定に着手する。
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