研究課題
[目的]「慢性疼痛」は「不整脈」や「癲癇」とともに、興奮性細胞に発現する電位依存性ナトリウムチャネル(Nav)に一部の原因が見出されている。9つのサブタイプからなるNav1型であるが、臓器毎に特定のサブタイプが単独で発現するわけではない。Nav1型は重要な創薬標的であるが、各種疾患に処方される治療薬はサブタイプ選択性に乏しく、必然的に副作用を伴う。本研究では、より優れた治療薬候補の提供を目的として、テトロドトキシン(TTX)、サキシトキシン(STX)の誘導体、軟体動物のクロイソカイメンよりサブタイプ指向性を有するNav1 型阻害剤の探索を行う。[成果]1)クロイソカイメン抽出物より分配抽出操作、クロマトグラフィー、逆相HPLCを経てNav阻害剤を単離し、アラキドン酸を得た。査読つき原著論文として投稿し、現在、再投稿を準備中である。2. 昨年、物質量の確保が困難で、Nav結合性が調べられていなかった4-epiTTX、11-oxoTTXなどのTTX類縁体のNav阻害活性を調査し、入手可能な天然・非天然のTTX類縁体・誘導体のNav阻害活性の測定を完了した。これらの成果を現在、査読つき原著論文を投稿中である。3. 非天然型/合成STX誘導体のNav結合性を評価した。顕著なサブタイプ選択性を示す化合物は見出されなかったが、Nav1.5に対して高結合性を示す化合物が見出された。TTXやSTXが示さない性質であり、今後も構造活性相関研究を継続する。4. サブタイプ選択的Nav阻害剤の創成を目指して、核酸アプタマーのスクリーニングを実施した。40残基のランダム配列を含むDNAライブラリーより、TTXと競合結合するアプタマーのスクリーニングをCell-Selex法にて実施したが、未だNav結合性アプタマーは得られていない。今後、リコンビナントNavに対するRNAアプタマー探索を行う。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Bulletin of the Chemical Society of Japan
巻: 95 ページ: 325-330
10.1246/bcsj.20210397
https://www.agri.tohoku.ac.jp/bukka/index-j.html