研究課題/領域番号 |
17H02206
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小寺 義男 北里大学, 理学部, 教授 (60265733)
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研究分担者 |
七里 眞義 北里大学, 医学部, 教授 (10206097)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | native peptide / 血漿 / 生理活性ペプチド |
研究実績の概要 |
様々なトライアルの結果、以前我々が開発したDifferential Solubiraizatino法(DS法)よりも高効率なペプチド抽出を実現するための複数の要素技術を確認できた。現在、その要素を取り入れて新たなペプチド抽出法の確立を行っている。また、血液中の native peptideは様々なタンパク質と相互作用していると考えられているが、その実態を捉える方法が無かった。そこで、我々は蛍光試薬を標識したペプチドを調製し、目的とした native peptide と相互作用しているタンパク質を探索する方法を確立し、現在、その可能性を検証している。 さらに2003年に分担研究者の七里らが in silico ペプチド探索法で発見したペプチドホルモン(Salusin-β)に関する論文を Scientific Reports に投稿した。その概要を以下に記載する。 Salusin-βは一過性で強力な降圧作用と同時に徐脈惹起作用を有している。Salusin-βの発見は世界的に注目されたが、一般的に使用される実験器具へ吸着する特異な性質をもち、その取り扱いが難しく、発見後約10年が経過して初めてELISAを用いたヒト血漿抽出物中のSalusin-β濃度の測定が可能となった。しかし、当時、共同研究を進めていた民間企業との間で様々な試みを行ったが、Salusin-βの直接検出は出来なかった。こうしたなか、我々が開発した血漿からのペプチド抽出法Differential Solubilization(DS)法と高精度・高感度質量分析技術を組み合わせて、血漿中Salusin-βならびにその断片ペプチドβの直接検出に初めて成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究実績の概要に記載の通り、より高効率に血中の native peptide を抽出するための要素技術の確認が行えた。また、in silico ペプチド探索法で発見した native peptide の動態を解析することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り高効率なペプチド抽出法の開発の目処が立った。今後は、この新たなペプチド抽出法の確立と native peptide 分析に有効なペプチド分画法を確立する。また、本研究に必要な技術である免疫沈降法によるペプチドの濃縮法を確立する。
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