研究課題/領域番号 |
17H02217
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
山口 瞬 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70304087)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光脳科学 / Arc遺伝子 / Arc-dVenusマウス / 記憶 / エングラム |
研究実績の概要 |
Arc-dVenusマウスは、記憶・学習や感覚情報処理の際に活性化された神経細胞で蛍光蛋白質が発現するトランスジェニックマウスである。 本研究では、このマウスを用いて、さまざまな記憶・学習時に海馬等の神経細胞がどのようなパターンで活性化されるのか、その法則性を明らかにすることを目指している。また、さまざまな脳・精神疾患(自閉症、統合失調症、鬱病など)のモデルマウスにおいて、神経細胞の活性化パターンがどのように変化するかを調べ、それらの疾患特有の異常を明らかにすることを目指している。 平成30年度は、視覚入力によって海馬歯状回神経細胞がどのようなパターンで活性化されるかを調べた。具体的には、(1)視覚刺激を与えたマウス:内側に縦縞模様のある容器に入れたArc-dVenusマウスと、(2)視覚遮断マウス:眼瞼を縫合後、内側に縦縞模様のある容器に入れたArc-dVenusマウスを用意した。そして灌流固定した後、それぞれの脳を、200マイクロメートル厚で切り分け、海馬歯状回全体を共焦点顕微鏡で撮影した。そしてdVenus陽性細胞の分布パターンを解析した。 さらに、触覚入力による海馬歯状回神経細胞の活性化パターンを調べるため、(3)ヒゲ切除マウス:ヒゲを根元で切った後、内側に縦縞模様のある容器に入れたArc-dVenusマウス、の解析も行った。 また共同研究により、さまざまな脳・精神疾患モデルにおける活性化神経細胞の分布の解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常マウスにおける記憶・学習時の活性化神経細胞の分布パターンの解析が、計画に沿う形で行えた。また共同研究により、脳・精神疾患モデルマウスでの解析が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今後、より複雑な記憶・学習課題などで解析を行う。また解析する個体数を増やしデータの精度を高める。これらのデータから、正常な脳において、活性化される神経細胞がどのような法則性で選ばれているのか、その法則性を明らかにする。また、さまざまな脳・精神疾患モデルマウスにおける解析も進め、疾患に特有の異常を明らかにする。
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