研究実績の概要 |
当研究課題の予算で購入した機材によって、国際共同研究による論文が出版された(Monai et al., Sci Rep (2021))。また、当課題で得られたデータは、当研究課題と関連する研究課題(20H03295)と内容を統合しながら、現在申請者を筆頭著者とする論文として投稿中であり、現在はリバイズを行っているところである。2つの科研費研究課題の内容を統合した理由であるが、1)両者はもともと内容的に関連が強いこと。2)両側海馬間のみでなく海馬-皮質間の相互作用の方が学術的なインパクトが大きいためであり、こちらの出版を時間的に優先したためである。 実験の結論としては、当研究課題で対象としている両側の海馬間でも(課題20H03295のような)海馬-皮質間でも、領域間の協調活動は動物の経験に依存していることが明らかになっており、さらに共通の分子メカニズムがその協調活動を強化する役割を果たしているということが分かった。しかし、それ以外にも個別の分子がそれぞれ海馬間、皮質間の環境刺激依存的な協調活動の修飾も行っているようであるため、データの解釈にさらに注意を要すると現在のところ考えている。 なお、当課題のために行った実験自体は既に完了しているが、上述のように、海馬-皮質間の相互作用に及ぼす環境の影響についても統合した形で論文発表を行いたいと考えているため、課題番号20H03295で得られた研究費を使用してデータを追加して投稿することを目指したい。これは、現在リバイズ中の論文が受理された後に速やかに行う計画である。
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