研究課題/領域番号 |
17H02228
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 英海 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20349228)
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研究分担者 |
桑原 尚子 早稲田大学, 法学学術院, その他(招聘研究員) (10611361)
阿部 尚史 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (20589626)
近藤 洋平 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (20634140)
辻上 奈美江 上智大学, 総合グローバル学部, 准教授 (30584031)
菊地 達也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40383385)
山口 昭彦 聖心女子大学, 文学部, 教授 (50302831)
辻 明日香 川村学園女子大学, 文学部, 准教授 (60549509)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 西アジア・中央アジア / 中東地域 / イスラーム / キリスト教 / 多様性 |
研究実績の概要 |
中東を中心とするイスラーム地域における支配集団と非支配的な民族・宗教/宗派・集団の相互関係を研究することを通じて、イスラーム世界の多様性と共存/排除の構造を浮き彫りにするという本研究の目的に従って設けられた、(A)「中東地域における宗教的・社会的少数派」、(B)「イスラームにおける少数派の思想と実態」、(C)「現在と過去の接点としての移動・法・ジェンダー」の3つの研究班で、それぞれ研究を進めた。研究班(A)では、宗教的少数派として中東地域の非ムスリムの代表といえるキリスト教徒の生存戦略と受難イメージの表象や、コプト共同体に対する社会的圧力の実態と共存への模索、サファヴィー朝からカージャール朝までの歴代イラン系王朝のもとでのクルド地域のスンニー派ウラマーの中央政府との関わりや地域社会における役割などについての調査を進め、加えて、キリスト教以外の少数派宗教についての資料収集を行った。研究班(B)では、主に中東のイスラーム共同体に関して、少数派をめぐる「自己/他者認識と共存」に注目し、10-11世紀における少数派としてのアラウィー派の共同体形成過程、中東・北アフリカ各地におけるイバード派共同体の成立・成熟過程と共同体間の地域差、シーア派教団・廟組織の政権との関係、地域社会との共存などについて研究を進めた。研究班(C)では、現在の紛争と政治的混乱によって生じている移動と、人の移動にともなう「法の移動」、移動と女性のインターセクショナリティ(交差性)などについての検討を行った。また、これまでの研究の暫定的な成果の発表の場として、科研チームとして講演会を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的に沿って、各研究班でそれぞれの研究を進め、各自、国際学会などで成果の発表を行ってきた。より具体的には、研究班(A)では、シリア語を典礼後とするキリスト教諸教会やエジプトのコプト教会信徒、クルド系民族の歴史と現状についての調査を進めた。研究班(B)では、初期アラウィー派共同体の形成と自他認識、イバード派イスラーム思想における多様性と統一性の理解、近世・近代シーア派イランにおけるイスラーム神秘主義教団の存続などについての研究を行った。研究班(C)では、人の移動にともなう「法の移動」に関する研究、移動と女性のインターセクショナリティ(交差性)に関する研究といった課題について検証を行った。また、本研究全体の暫定的な成果の発表の場として、講演会を開催した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を踏まえて、イスラーム世界の多様性と共存/排除の構造を浮き彫りにするという本研究の目的を達成すべく研究を継続する。研究班(A)では、中東地域のキリスト教諸派の生存戦略や、クルド系住民の歴史的共存の実態についての検証を行う。研究班(B)では、初期アラウィー派共同体の形成と自他認識、バード派イスラーム思想における多様性と統一性の理解、近世・近代シーア派イランにおけるイスラーム神秘主義教団の存続などのテーマについて研究を進める。研究班(C)では、人の移動にともなう「法の移動」に関する研究、移動と女性のインターセクショナリティ(交差性)に関する研究を継続する。また、中東地域在住の研究者との意見交換のためのシンポジウムを開催する。
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