研究課題/領域番号 |
17H02240
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
前田 しほ 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (70455616)
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研究分担者 |
高山 陽子 亜細亜大学, 国際関係学部, 教授 (20447147)
喜多 恵美子 大谷大学, 文学部, 教授 (30410971)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 労働英雄 / 戦争記憶 / 少年団 / 大衆歌謡 / 戦争文学 / 社会主義文化 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、本課題実施4年目で、研究の統合・体系を目指していた。社会主義文化の比較のため、全メンバーによる海外調査(候補地:ロシア)と国際学術会議における成果発信を予定していたが、新型コロナウイルス関係の混乱のため、次年度へと延期した。しかし、パンデミックが長引き、令和3年度も海外渡航を中止せざるをえなかった。 そこで、研究組織活動の方向性を変更し、テレビ会議システムを用いたオンライン会議の環境を整備し、学術文献の収集、そして一般公開をオンライン研究集会・講演会の企画・運営を重点的に行うこととした。オンライン研究会を3件主催、朝鮮大学校朝鮮問題研究センター朝鮮文化研究室との共催で連続講座4件を行った。研究協力者を含めた研究成果の発表については、学会等での口頭発表が18件、論文が8件、研究ノート2本、エッセイ2本、書評1本が公刊された。 オンライン研究会は、2021年2月27日に若手研究協力者二名によってDPRKの文学・大衆歌曲についての発表が行われた。2022年2月9日には外部講師を招聘し、生活誌の側面から、中国の学校教育における朝鮮映画受容の実態についての講演が行われた。2022年3月19日は科研メンバー三名によって中国の労働英雄、DPRKの少年団(ピオネール)、ソ連の戦傷兵と不貞の妻の表象についての研究発表が行われた。これらの研究会では外部からコメンテータ―を招致し、質疑応答、議論が活発に行われた。研究会終了後には打ち合わせを行い、次年度の活動や方向性について討議した。 連続講座では在日朝鮮人識者が招聘され、DPRKの音楽(当日参加者76名、動画視聴回数57回。以下同様)、舞踏(77名、177回)、食文化(21名、77回)、喜劇(32名、145回)についての講演会が行われた。一般にオンラインで公開し、終了後には動画配信サイトで無料公開し、社会に広くフィードバックされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題は、海外調査と国際会議での発表を主要活動と位置づけていたので、パンデミックにより海外渡航ができないことは致命的な痛手である。方向性を修正し、国内での研究調査、研究集会のオンライン化と一般社会への普及に重点を置いたが、全体的な進捗状況としては「遅れている」と報告せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
2022年夏に中国での研究調査に二名を派遣予定である。感染状況によって延期・中止を柔軟に判断することとする。延期ないし取りやめる場合は、国内での調査活動、文献収集を重点に置き、これまでの研究成果をとりまとめ、報告書の刊行をめざす。またオンライン研究集会(連続講座と研究会)の実施を継続し、研究コミュニティとして知見を共有し、議論を深める。
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